研究課題
ガラスバルク体を用いたNaAlSiO6ジェーダイトの透明ナノ多結晶化を22GPaまでの圧力下で試みた。この結果透光性の高い多結晶体が得られたが、本研究の条件下では完全なナノ多結晶体は得られず、最小粒径は200ナノメートル程度にとどまった。また得られた試料の光の透過率と硬度測定を行い、その粒径依存性を明らかにした。これらの結果は論文として取り纏めて発表するとともに、「透明ヒスイの合成に成功」という内容でプレスリリースも行った。一方、ガラス状カーボンを出発物質として用い、ナノ多結晶ダイヤモンドが合成可能な温度圧力条件の制約を目指した。この結果、圧力12 GPaでは2300℃以上、15GPaでは1800℃以上、20 GPaでは1900℃以上、25 GPaでは2000℃以上の温度下で純粋なナノ多結晶ダイヤモンドが合成され、15GPa付近の圧力で最もマイルドな温度での合成が可能なことが見出された。引き続き、より詳細な実験を行うとともに、透過型電子顕微鏡を用いた微細組織の観察や硬度測定を行いつつある。一方でガラスやガラスから生じた多結晶体の弾性波速度測定が行われるとともに、Al2O3-SiO3系での多結晶合成のための超高圧高温実験も行われた。後者により予期せず新たな高圧相が発見され、その成果を論文として発表した。その他、関連する研究として、ナノ多結晶ダイヤモンドを用いた中性子回折実験の新たな手法が開発されるとともに、同じくナノ多結晶ダイヤモンドを用いた超高圧下での超伝導測定やX線吸収分光測定が行われ、これらの成果も論文として発表した。
3: やや遅れている
コロナ感染拡大の影響により、放射光実験施設での実験などに大きな制約が発生し、また実験装置の納期も大幅にずれてしまったため、研究の遂行に大きな障害があった。しかし、代表者と分担者のそれぞれの努力により一定の成果があがるとともに、研究論文の取り纏めの点では大きな進展がみられた。
コロナ感染拡大により研究遂行がに影響がでたが、引き続き当初の目的に沿った研究の推進を図るとともに、ナノ多結晶ダイヤモンドを含む透明ナノセラミックスの多様な応用可能性についても研究を進める。また、得られた透明ナノセラミックスを用いたレーザー衝撃実験による物性評価も、新たに共同研究として進める予定である。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 5件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 8件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
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