研究課題/領域番号 |
21H04642
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
深田 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (90302207)
|
研究分担者 |
J. Wipakorn 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (40748216)
宮崎 剛 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50354147)
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60212263)
冨岡 克広 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (60519411)
松村 亮 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 研究員 (90806358)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
キーワード | ナノワイヤ / シリコン / ゲルマニウム / トランジスタ |
研究実績の概要 |
現行の平面型金属・酸化膜・半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)では、微細化した回路素子からのリーク電流による発熱が大きくなるため、従来のスケール則に従った微細化だけでは素子の性能向上に限界が指摘されている。本研究では、IV族半導体Si、Ge、新規高移動度材料として注目されているGeSnから形成される特殊なコアシェルヘテロ接合により高電子移動度型トランジスタ(HEMT)構造を1次元ナノワイヤ内部に形成することで 、次世代トランジスタの微細化限界・低消費電力化の課題を解決し、ナノ構造でも不純物散乱のない高移動度デバイスを実現する。 本年度は、コアシェルヘテロ接合の精密形成制御に関する研究を実施した。コアシェルナノワイヤのHEMTデバイス応用を考えると、ヘテロ接合界面の制御が重要である。そこで、①界面相互拡散抑制、②ドーパント不純物の拡散抑制、③シェル層の高い結晶性、④不純物の活性化を満足するシェル形成条件を確立するための成長条件の探索を行った。①-②ではシェル形成温度を低くし、③-④では高くする必要がある。p-Siシェルの場合はジボラン(B2H6)ガス添加(位置制御ドーピング)によるSiH4ガス分解促進効果でシェル形成温度を700℃まで低下できた。一方、i-Geシェルでは更に500℃まで成長温度を低下できたため、相互拡散の問題を解決し、且つ高い結晶性維持できる最適条件を導き出すことに成功した。 コアシェルナノワイヤモデルに対して、Si中の様々なサイトにアクセプタ不純物となるBを導入し、不純物の熱力学的安定性、拡散エネルギー障壁の場所依存性、界面依存性に関する大規模第一原理計算を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画としてはコアシェルヘテロ接合の精密形成制御であり、p-Siシェルの場合はB2H6ガス添加(位置制御ドーピング)によるSiH4ガス分解促進効果でシェル形成温度を700℃まで低下できており、i-Geシェルの場合には更に500℃まで成長温度を低下できたため、相互拡散の問題を解決し、且つ高い結晶性維持できる最適条件を導き出すことに成功できている。ナノワイヤFET形成のためのプロセスおよび大規模第一原理計算によるコアシェルナノワイヤモデルの構築の準備も順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに確立したp-Si/i-Geコアシェルナノワイヤとは逆構造を持つi-Ge/p-Siコアシェルナノワイヤの形成条件を確立する。トップダウン手法によるGeナノワイヤの形成に関してはこれまでに報告例はなく、Boschエッチングの条件最適化から実施する。更に、表面ダメージ層の除去と直径縮小化を両立するエッチング条件を確立する。 大規模第一原理計算では、高移動度化を実現するための構造最適化、ナノワイヤ構造中でのドーパント不純物の特性等に関して計算を行う。計算結果を実験にフィードバックし、i-Ge/p-Siコアシェルナノワイヤ構造を形成する。 形成されたi-Ge/p-Siコアシェルナノワイヤに対して縦型デバイス化のためのプロセスを確立、i-Ge/p-Siコアシェルナノワイヤ中のi-Geコア領域へのホールガスの蓄積の実証、トランジスタ特性の評価のためのプロセスの確立を行う。
|