研究課題/領域番号 |
21H04643
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
家田 淳一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (20463797)
|
研究分担者 |
佐藤 奈々 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (10867112)
針井 一哉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員 (00633900)
日置 友智 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (10898042)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
キーワード | メタマテリアル / 磁性絶縁体 / マグノン / 重イオンビーム / マグノニクス / スピントロニクス / スピン格子結合 |
研究実績の概要 |
本研究では、放射線を用いた磁気メタマテリアルの作製を目的とする。対象となる材料は、ガリウムガドリニウムガーネットの基板に、イットリウム鉄ガーネット(以下YIG)を成膜したもの、及びYIGの元素置換物質(以下Bi-LuIG)を成膜したものの2種類である。Bi-LuIGは、スピン波トモグラフィー法において、YIGより高い感度を実現することから、重イオン照射の効果を検証する上で採用した。それらの表面に、重イオンビームの照射域をパターン化させるために、直径数十マイクロメートルの貫通孔が数十マイクロメートルの間隔で配置・加工されたフォトレジスト膜の作製が必要となる。このプロセスに0.6マイクロメートル精度マスクレスアライナを本研究経費にて導入し、機器の立ち上げとパターニングの調整を行った。 重イオン照射実験は、原子力機構(東海)のタンデム加速器を利用した。照射後にフォトレジスト膜を除去することで、円筒状に磁性/非磁性境界を形成するようパターン照射された試料を作製した。作製した試料の磁気ドメイン観察を、磁気光学カー顕微鏡等で実施した。 以上の研究と並行して、YIGおよびBi-LuIGの基礎物性についても調査を進めた。まず、YIGにおける熱的マグノン生成効率の重要因子である「スピン格子結合」の温度依存性を、超音波と中性子準弾性散乱法を組み合わせた手法により調査した。また、重イオン照射によるBi-LuIGの磁気特性の変調効果を系統的に調べた。これらの解析結果は、磁気メタマテリアルを作製する上での基礎データとなると共に、磁性絶縁体材料と放射線の相互作用に関する新しい知見をもたらすものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた、機器の導入・立ち上げが完了し、基礎的なデータの取得に着手したこと、YIGのスピン格子結合に関する基礎研究を実施し、論文発表を行ったこと、BI-LuIGに対する重イオン照射による磁気特性の変調効果が見出され、一部成果発表を行ったこと及び継続的に重イオン照射を実施するため、次年度以降のタンデム加速器のマシンタイムを確保できたことから、おおむね順調に進展している。と判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度に作製したパターニング済み試料を、スピン波トモグラフィー法で測定を行う。その成果を数値シミュレーション結果と比較して、成果取りまとめを行う。また、高周波測定装置の立ち上げを行い、新たに作製したパターニング済み試料における特徴的なマグノン伝搬モードの測定を開始する。
|