研究課題
スピンの波の量子(マグノン)を応用する技術はマグノニクスと呼ばれ、その技術を用いた高エネルギー効率の情報処理回路の実現が期待されている。その実現には、マグノンの非線形ダイナミクスを利用したデバイスが必要である。本研究では、人工の積層反強磁性体に特有の非線形マグノンダイナミクスを様々な手法を用いて研究し、その学理を構築する。特に、特異なマグノン増幅現象について研究し、それを応用したマグノン増幅デバイスのコンセプトを実証する。本年度は当初計画に従い、計画のベースとなる研究を行った。代表者(水上)は、積層反強磁性体の非線形マグノンダイナミクスに対するスピン散逸やマグノンモードの効果について明らかにするため、光パルスマグノン励起ならびに観察の手法を用いた実験を進めた。この研究の過程で、白金で挟み込んだ積層反強磁性体において、円偏光を用いた強磁性マグノン励起を新たに見出し、国際会議で報告した。また、代表者は、マグノンの非線形時空間発展イメージングならびに、三端子マグノン増幅素子の実証に向け、時空間分解計測の光学系改良を進めるとともにマイクロマグネティックシミュレーションによる数値解析を進めた。他方、代表者ならびに分担者(飯浜)は、ナノサイズの積層反強磁性体における非線形マグノンダイナミクスを明らかにすることを目的に、高磁場光学系の改良を進めた。また、英国のグループとともに、積層反強磁性体の磁化ダイナミクス計測を進めた。並行して、表面弾性波によって励振される非線形マグノンダイナミクスを明らかにするため、代表者はリチウムナイオベート単結晶基板上にコバルト鉄ボロン薄膜を作製し、分担者(能崎)はそのサンプル微細加工条件の最適化を進めデバイス作製の指針を得た。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Journal of Applied Physics
巻: 131 ページ: 023901~023901
10.1063/5.0073409
https://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/mizukami_lab/