研究課題/領域番号 |
21H04660
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小西 邦昭 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60543072)
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研究分担者 |
三田 吉郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40323472)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | フォトニック結晶 / 非線形光学 / 真空紫外光 / メタマテリアル |
研究実績の概要 |
波長200nm以下の光である真空紫外コヒーレント光を用いた分光法は、固体中の電子のバンド構造の直接観測や、生体分子の構造計測など物理、化学、生命科学の広い分野で重要な応用を有している。しかしながら、真空紫外コヒーレント光の発生には現状、高度なレーザー技術が必要であり、これが専門家以外の利用を困難とする一因となっている。本研究では、代表者が近年発見した誘電体ナノメンブレン人工構造における真空紫外光への波長変換の現象を、新たな真空紫外光源技術として確立することを目的とする。すなわち、新材料・最適構造の誘電体ナノメンブレン人工構造を設計・作製する手法を明らかにし、分光用光源として使用可能な強度、波長、偏光での真空紫外コヒーレント光発生を実現する。さらにそれを用いて、真空紫外領域での波長可変ポンププローブ分光および円二色性分光への応用が可能であることを実証する。 本年度は、高温アニール法及びMEMS作製プロセスを活用して、SiO2ナノメンブレンに対して周期的なナノ開口を形成し、フラットなSiO2フォトニック結晶ナノメンブレンを作製する技術の開発を進め、電子線リソグラフィー及びドライエッチングを用いた、SiO2薄膜への構造作製及びメンブレン化のプロセス条件を確立した。この手法を用いて、真空紫外円偏光発生用のSiO2フォトニック結晶ナノメンブレンを作製し、透過測定において共鳴ディップを観測することに成功した。また、真空紫外直線偏光THGの短波長化を目指したフッ化物薄膜ナノメンブレンの開発を進め、作製が可能となるプロセス手法を明らかにした。 また、誘電体メンブレンから発生される真空紫外光を用いた円偏光観測システムの構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を遂行する上で重要な、SiO2フォトニック結晶ナノメンブレンの作製プロセスの確立に成功し、真空紫外円偏光発生実験に用いることのできる試料を作製できた。また、もう一つの目標であるフッ化物ナノメンブレンの作製手法に関しても、プロセスを確立でき、 本プロジェクト全体の観点から重要な進捗が達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
作製したSiO2フォトニック結晶ナノメンブレンおよびフッ化物ナノメンブレンを用いて、光学特性評価と非線形光学実験を進め、真空紫外光発生の観測を進める。また、誘電体メンブレンから発生される真空紫外光を用いた円偏光観測システムにこれらの新規ナノメンブレンを導入し、その性能向上を実現する。
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