研究実績の概要 |
本研究は、電気二重層キャパシタの高エネルギー密度化を目指し、静電容量を増大させる新しい指針として「インターカレーション静電容量」を提案するものである。具体的にはMXene(マキシン)と総称される層状化合物を研究対象とする。MXeneは、層間ナノ空間に挿入されたイオンが電気二重層を形成し、インターカレーション静電容量を与える。これまでの応募者の研究で、層間ナノ空間に共挿入された電解液の溶媒分子が外部電場を過剰遮蔽し、静電容量を大幅に増大することが明らかとなっていた。 2023年度においては、水系電解液中のMXene電極が示す静電容量を支配する因子を定量的に明らかにするために、文献に報告されたMXene電極の特性をデータベース化し、機械学習による特徴量重要度を解析した。その結果、MXene層間距離が最も重要な因子であることが分かり、また、3.0-4.0 Å程度の層間距離を持つMXeneを合成することでエネルギー密度と入出力特性を両立した電極が得られることが分かった(“Machine learning-assisted survey on charge storage of MXenes in aqueous electrolytes”, K. Kawai, Y. Ando, M. Okubo, Small Methods, 2024, 2400062.)。 また、2022年度に構築したJSON形式で電極特性をデータベース化する方法論を利用してMXene電極特性をデータベース化し、LiFePO4電極のデータベースと結合したリレーショナルデータベースを用いてフルセル特性の最適化を飛躍的に高効率化することに成功した。
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