研究課題
1-1) PKF のタンパク質発現と抗体作製: バキュロウイルス由来のタンパク質発現ベクターを用いてPKFを発現させた。複数のベクターと大腸菌株の組み合わせを用いて、PKFの発現を試みた結果、PKFを多量に発現させる大腸菌とベクターの組み合わせを特定した。大腸菌で発現させたタンパク質をウエスタンブロッティングにより検出したが、不溶性のタンパク質になったので、可溶化する方法を検討する必要がある。また、C末側のペプチドを合成して抗体を作成した。また、in vitro translationを用いたタンパク質発現を試みた。1-2) PKF欠損ウイルスの確立: 野生株のMySEVがそれぞれ感染した感受性細胞にトランスファーベクター(PKF 遺伝子にマーカー遺伝子を組換える)をトランスフェクションさせた。相同組換えによりPKF 遺伝子を欠損させたウイルス株をマーカー遺伝子の検出によりクローニングした(高務担当)。構築したPKF欠損MySEV株ついて東京農工大学で生物検定を行うために文部科学大臣確認実験の申請を行った。1-3) シロイチモジヨトウを用いたゲノム編集技術の確立: PKFをゲノムに持つシロイチモジヨトウについて、ゲノム編集技術を用いてPKF遺伝子の欠損を行った。まず、シロイチモジヨトウのゲノムを解析した結果、PKF2遺伝子が日本のシロイチモジヨトウでは欠損していることが明らかになった。次に、Cryspr-Cas9システムによりPKF1遺伝子を欠損昆虫を作製した。最終的に、PKF1遺伝子を欠損した昆虫の作製に成功した(伊藤仲井担当)。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画どおり、東京農工大学においてゲノム編集によりシロイチモジヨトウのゲノムからPKF遺伝子を欠損させた系統を確立できた。アワヨトウ昆虫ポックスウイルスについても、森林総合研究所においてPKFを欠損させた株を構築したので、東京農工大学において大臣確認実験の申請を行いその承認を待っている状況である。
1-1) MySEVにおけるPKFの機能解析: MySEV由来のPKFを大腸菌およびバキュロウイルスベクターを用いて発現させる。発現させたタンパク質の寄生蜂に対する影響を評価する。また、PKF欠損MySEVの機能解析を開始する。1-2) シロイチモジヨトウにおけるPKFの機能解析: PKFを欠損させたシロイチモジヨトウを野生型のシロイチモジヨトウと比較してシロイチモジヨトウにおけるPKFの機能を明らかにする。1-3) 多様な寄生蜂の種に対するPKFの影響評価: これまで調べられてきたカリヤコマユバチとギンケハラボソコマユバチ以外の寄生蜂に対するPKFの影響を評価する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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