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2021 年度 実績報告書

非病原力遺伝子喪失過程で辿るいもち病菌菌群分化とムギ類抵抗性遺伝子の起源・消長

研究課題

研究課題/領域番号 21H04726
研究機関神戸大学

研究代表者

土佐 幸雄  神戸大学, 農学研究科, 教授 (20172158)

研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2025-03-31
キーワードPyricularia oryzae
研究実績の概要

シコクビエ菌のコムギに対する非病原性には5つの遺伝子(A1, A2, A3, A4, A5)が関与することが示唆されている。これらのうち、A3はエンバク菌とライグラス菌のコムギに対する非病原力遺伝子PWT3であることが確認されている。そこでまず、A5のクローニングに取り組んだところこれに成功し、PWT6と命名した。続いて、PWT6を導入したコムギ菌形質転換体を用いることにより、対応する抵抗性遺伝子Rwt6を同定した。fine mappingの結果、その候補遺伝子を2つに絞りこむことができた。
つぎに、A1のクローニングを試みたところ、これはエンバク菌・ライスグラス菌のコムギに対するもう一つの非病原力遺伝子PWT7のホモログであることが判明した。また、PWT7を導入したコムギ菌形質転換体を用いて、これに対する抵抗性遺伝子Rwt7を同定した。fine mapping によりその候補遺伝子を1遺伝子に絞り込み、これをコムギに形質転換して得られた形質転換体に、上記PWT7保有形質転換コムギ菌を接種したところ抵抗性となった。このことから、Rwt7のクローニングに成功したと考えた。
さらに、A4のクローニングに取り組んだ結果これに成功し、PWT8と命名した。また、PWT8を導入したコムギ菌形質転換体を用いて、それに対する抵抗性遺伝子Rwt8の同定に成功した。マッピングの結果、Rwt8は1D染色体に座乗することが判明した。
一方、イネ菌・アワ菌とコムギ菌のコムギに対する寄生性の違いに関与する遺伝子座 Pwt2のクローニングに成功した。当初この座はイネ菌・アワ菌の非病原力遺伝子座であると考えていたが、そうではなく、コムギ菌の病原性に関与する座であることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

PWT6, PWT7, PWT8 という3つの非病原力遺伝子のクローニングに成功した。また、それぞれに対する抵抗性遺伝子 Rwt6, Rwt7, Rwt8の同定にも成功した。さらに、Rwt7については、そのクローニングにも成功した。
一方、コムギ菌のコムギに対する病原性に関与する遺伝子Pwt2のクローニングにも成功した。この遺伝子は、コムギ菌・ライグラス菌・シコクビエ菌のグループとアワ菌・イネ菌のグループの分化に重要な役割を果たしたことが示唆された。
以上、想定以上の速さで、非病原力遺伝子・抵抗性遺伝子等の同定・クローニングが進んでいるので、(1)当初の計画以上に進展している とした。

今後の研究の推進方策

(1)Pwt2のクローニングを論文化する。
(2)PWT7のクローニングを論文化する。
(3)Rwt7のクローニングを論文化する。
(4)Rwt8 のマッピングを行うとともに、その普通系コムギ、タルホコムギにおける地理的分布を調査し、コムギの東方への分布拡大にどのような役割を果たしたかを検討する。
(5)A2のクローニングを試みる。これまでに、BC2F1集団を用いたマッピングによりおおよその領域は絞りこんだが、どうしても解決できない分離があり、領域を特定するには至っていない。そこで、集団を作り直して再度マッピングを行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] いもち病菌非病原力遺伝子PWT7に対するコムギの抵抗性遺伝子Rwt7の単離2022

    • 著者名/発表者名
      足助聡一郎・庭本大輔・堀江晶子・Analiza GrubanzoTagle・久野裕・佐藤和広・土佐幸雄
    • 学会等名
      令和4年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] Characterization of Pwt2 locus reveals a virulence factor of the blast fungus for wheat infection2022

    • 著者名/発表者名
      Trinh Vy・井上喜博・中馬いづみ・足助聡一郎・中屋敷均・土佐幸雄
    • 学会等名
      令和4年度日本植物病理学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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