研究課題
基盤研究(A)
西アジアで栽培植物として成立した「普通系コムギの東方への進出」の成功要因を病原菌との相互関係に基づき明らかにしようとする興味深い研究である。いもち病菌の植物属特異的な感染に関与する非病原力遺伝子とその遺伝子に対するコムギの抵抗性遺伝子を同定し、コムギの抵抗性遺伝子の分布解析を行い、抵抗性獲得の進化について考察を加えるものである。
これまで応募者が発見した寄生性に関与する非病原力(AVR)遺伝子の解析から提唱した仮説「寄生性分化・進化過程はAVR遺伝子の喪失課程である」を証明する独創性豊かな研究である。菌群分化にかかわる遺伝子を同定し、菌の遺伝子と植物の抵抗性遺伝子を使って検証する本研究は、植物病理学分野に留まらず、植物遺伝育種学、栽培植物起源学にも通じる学問的な深さと広がりを持っている。