研究課題/領域番号 |
21H04742
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
山下 洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (00583147)
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研究分担者 |
酒井 隆一 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (20265721)
井上 菜穂子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00509515)
神保 充 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10291650)
新里 宙也 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70524726)
小池 一彦 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30265722)
横田 秀夫 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, チームリーダー (00261206)
將口 栄一 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミックスユニット, グループリーダー (90378563)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 共生体 / 褐虫藻 / サンゴ / シャコガイ / サンゴ礁 |
研究実績の概要 |
海の熱帯雨林とも称されるサンゴ礁では、刺胞動物のサンゴや二枚貝のシャコガイが褐虫藻と呼ばれる微細な藻類と共生して繁栄している。本研究では、観察により得られた「現象」に関与する「物質」の詳細を明らかにし、それら物質の共生体内での「局在・分布・遷移」を可視化することで、生命現象が複雑に絡み合う褐虫藻共生システムを体系的に理解することを目的とする。令和3年度は主にシャコガイ類を用いて実験を実施した。シャコガイの生殖腺からDNAを抽出して次世代シーケンサーによる新規ゲノム解読に着手し、現在150を超えるコンティグを得ている。代謝物の解析はシャコガイの外套膜、生殖腺、中腸腺、腎臓、エラ、筋肉をそれぞれ個別に採取し、液体クロマトグラフ質量分析計や核磁気共鳴装置等の機器を用いて実施した。その結果、各部位ごとに特徴的な代謝物の存在が明らかとなったため、組織中での実際の局在をイメージング質量分析顕微鏡で確認した。また、外套膜由来の抽出物をゲル濾過によりサイズ分画してシャコガイから単離した褐虫藻培養株に添加した。添加後、褐虫藻の光合成活性を二次元イメージングクロロフィル蛍光測定装置により測定したところ、いくつかの画分で活性や増殖に影響が見られた。さらに、シャコガイ内で褐虫藻が共生する特殊な器官である共生藻管の分布を明らかにするため、小型のシャコガイを用いて3次元内部構造顕微鏡観察を実施した。シャコガイ内の褐虫藻の多くは外套膜に分布していたが、貝柱周辺やエラ基部などにも褐虫藻が存在することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたシャコガイ類を用いた実験は概ね予定通り実行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は引き続きシャコガイ類を用いて代謝物のより詳細な分析と、それらの組織内での局在や分布の観察、及びゲノム解読を実施する。令和3年度に褐虫藻の光合成活性や増殖に影響が見られたシャコガイ由来物質の分析も進める。また、消化管などの共生藻管以外の器官の構造も3次元内部構造顕微鏡で観察を試みる。
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