研究課題/領域番号 |
21H04744
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
平井 浩文 静岡大学, グローバル共創科学部, 教授 (70322138)
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研究分担者 |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00432948)
鈴木 智大 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (10649601)
長井 薫 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20340953)
森 智夫 静岡大学, 農学部, 准教授 (80536516)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | バイオレメディエーション / 白色腐朽菌 / シトクロムP450 / 毒性評価 |
研究実績の概要 |
(1) 環境汚染物質代謝CYPライブラリーの構築 本研究の供試菌であるPhanerochaete sordida YK-624株は214種のシトクロムP450(CYP)遺伝子を有しおり、これらCYPが代謝可能な環境汚染物質を決定し、環境汚染物質代謝CYPライブラリーを構築することを目的に、P. sordida YK-624株からのCYP遺伝子(cDNA)の取得及び発現プラスミドの構築を行った。その結果、214種類のCYP遺伝子のうち、192種のCYP遺伝子の取得に成功した。また、取得出来なかったCYP遺伝子については受託合成を行い、214種全てのCYP遺伝子の取得を完了した。これらを酵母に導入し、全CYP遺伝子組換え酵母の作成に成功した。本組換え酵母を用いて、7-エトキシクマリン、アセタミプリド(ACE)、イミダクロプリド、イミダクロチズ、バニリン、カルバゾール、ビスフェノールA(BPA)の代謝実験を行った結果、これらを代謝可能な複数のCYPの同定に成功した。
(2) P. sordida YK-624株の与える分解代謝産物の生物学的意義の解明 『白色腐朽菌は環境汚染物質を、環境中に存在する微生物が分解可能となる形にまで代謝している』という仮説を証明すべく、ACE及びBPAの代謝に関与するCYPの同定を試みた結果、ACEをIM 2-1に、BPAをハイドロキシBPAに変換するCYPの同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
P. sordida YK-624株が有する全CYP遺伝子を取得し、それぞれを発現するCYP遺伝子組換え酵母の作出を完了した。すでに7化合物を代謝可能なCYPの同定に成功しており、今後、供試化合物が飛躍的に増えることが見込まれる。 またP. sordida YK-624株の与える分解代謝産物の(生物的)合成法も確立出来たので、今後、環境微生物による検討が可能となった。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 環境汚染物質代謝CYPライブラリーの構築については、各種環境汚染物質をCYP組換え酵母で処理し、環境汚染物質代謝CYPライブラリーの構築を完了させる。 (2) P. sordida YK-624株の与える分解代謝産物の生物学的意義の解明については、実際にACEとIM 2-1、BPAとハイドロキシBPAを環境微生物で処理し、分解性の違いを検討するとともに、微生物群解析、発現遺伝子解析等を実施する。
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