研究課題
サブミリ波照射による生化学反応の非熱効果に関する研究を実施し,水が電場の影響を受けることでアクチン伸長が促進されるという仮説を調べた。周波数依存性について調査した結果,同程度の平均パワーの照射では,tanδが大きい方が,核形成期を加速し,伸長効果が大きくなる傾向が確認された。並行してフッ素系不活性溶媒 (Fluorocarbon; FC)が微生物増殖に与える影響を調査した。数種類のフッ素系溶媒と細菌株を使用して、液体培養条件におけるフッ素系溶媒の作用を細菌増殖性の違いからCMOSセンサと従来の濁度測定法により定量評価した。大腸菌液体培養において、フッ素系溶媒は従来知られていた酸素リザーバー機能だけでなく、二酸化炭素などの吸着による培養環境の維持メカニズムがあることをガスクロマトグラフ法で証明した。さらにこの作用は特定の固体材料でも認められたことから,特許出願を行った。難培養菌であるウシ型結核菌培養では,培養条件の最適化に加えて,12種類の抗結核薬に対する感受性(耐性)を迅速診断できる基盤技術を開発した。医学的には,多剤耐性結核菌の薬剤感受性検査に要する時間を現在の6~8週間から16時間以内へ劇的に短縮できる可能性を見出した。さらに,FC による増殖促進には細胞飽和密度を高める特徴があり,細胞飽和密度の決定には「鉄」が重要な役割を果たすことが知られている。このことは,FC が菌体への鉄の取り込みや鉄が関わる代謝を変化させて増殖促進する可能性を示唆していることから,FC 添加時の大腸菌への鉄取り込み量の測定や鉄が関わる代謝経路の解析を行った。結果,鉄存在時に発現量の変化が報告されている遺伝子の発現変化が観察された。これは、FC添加により大腸菌の鉄が関わる代謝が変化したことを示唆しているとの結論を得た。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
J Microbiol Methods
巻: 219 ページ: 106898
10.1016/j.mimet.2024.106898
Food Hydrocolloids
巻: 146 ページ: 109279
10.1016/j.foodhyd.2023.109279
Food Research International
巻: 186 ページ: 114400
10.1016/j.foodres.2024.114400
Scientific Reports
巻: 13 ページ: 3825
10.1038/s41598-023-30873-9.
Microoptics News
巻: 41 ページ: 23-28
Food Chemistry
巻: 425 ページ: 136237
10.1016/j.foodchem.2023.136237