研究課題
緑内障危険因子として見いだされた分子ABCA1に注目し、緑内障の分子病態に関する研究を行った。前年までに、ABCA1が網膜アストロサイトに局在すること、ABCA1のアストロサイト特異的欠損マウス(ABCA1-cKO)を作成し、ABCA1-cKOマウスは眼圧が正常にもかかわらず緑内障様の症状を呈することを見いだした。本年は、本マウスを用いたバルクRNAシークエンスを行い、 網膜アストロサイトABCA1の欠損から疾患に至るメカニズムの解析を行った。ABCA1-cKO網膜では、炎症系の応答が亢進していることが明らかとなった。また末梢からマクロファージの網膜内への浸潤が起こっており、これらが網膜内の炎症に大きく関与していることが明らかとなった。アストロサイトABCA1の欠損は、このような末梢からの免疫細胞の浸潤を引き起こし、網膜の炎症を亢進させることで、眼圧に関係無く緑内障様の症状を引き起こすことが強く示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
バルクRNAシークエンスを行い、緑内障分子メカニズムの解析が大きく進んだため。
今回の研究により、アストロサイトABCA1欠損が、眼圧に関係する事無く緑内障様の症状を起こすメカニズムとして、末梢からのマクロファージ侵入により炎症応答が亢進することを見いだした。この炎症応答がどのようにして網膜神経節細胞(RGC)を障害するのかの、分子メカニズムを明らかとする。RNAシークエンスデータからRGCの障害に関係する分子の探索、どのようなRGCが障害を起こしやすいのかの探索を行う。これら見いだした候補分子を、薬理学的及び分子生物学的に制御し、責任分子を見いだす。RGCの障害は、RGCの免疫染色、視覚機能検査及び網膜断層撮影により評価する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 5件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 15件) 学会発表 (48件) (うち国際学会 8件、 招待講演 9件)
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