研究課題/領域番号 |
21H04795
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝禎 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90372838)
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研究分担者 |
山下 泰信 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (10873408)
伊藤 幸裕 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30636402)
高田 悠里 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20902357)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | 標的誘導型合成 / 医薬品 / 阻害薬 / in situクリックケミストリー / 創薬 |
研究実績の概要 |
本研究では、標的タンパク質自身に阻害薬を合成させる手法である「標的誘導型合成」により、より簡便かつ迅速に、医薬品候補化合物を見出すことを目的とする。具体的には、①標的酵素の触媒メカニズムに基づいた阻害薬の創製、②invitro in situクリックケミストリー、③in cell in situクリックケミストリー、を実行している。 ①標的酵素の触媒メカニズムに基づいた阻害薬の創製:酵素触媒反応を利用した標的誘導型合成では、基質を模倣した化合物が酵素活性中心で触媒反応を施され、補酵素との共有結合形成や標的酵素自身の修飾を導き、酵素を阻害する。本研究では、触媒反応に基づいたリシン脱メチル化酵素阻害薬を創製する。令和2年度は、触媒反応に基づいたリシン脱メチル化酵素阻害薬を設計、合成し、酵素阻害活性評価を行った結果、新規リシン脱メチル化酵素阻害薬を見出した。 ②in vitro in situクリックケミストリー:本研究では、金属含有酵素阻害薬創製のための標的誘導型合成を用いてリシン脱メチル化酵素阻害薬の探索を行っている。令和2年度は、本手法で用いる、アジドフラグメントおよびアルキンフラグメントを設計、合成し、酵素を用いた予備試験を行うことで、in vitro in situクリックケミストリースクリーニングの準備が完了した。 ③in cell in situクリックケミストリー:本研究では、生体直交型かつ高収率で反応が進行するテトラジン-アルケン間の逆電子要請型Diels-Alder反応を利用して、in cell in situクリックケミストリーを行っている。令和2年度は、本手法で用いる、テトラジンフラグメントおよびアルケンフラグメントを設計、合成し、in cell in situクリックケミストリーの準備が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに分子設計、合成、活性評価を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
①標的酵素の触媒メカニズムに基づいた阻害薬の創製 酵素触媒反応を利用した標的誘導型合成では、基質を模倣した化合物が酵素活性中心で触媒反応を施され、補酵素との共有結合形成や標的酵素自身の修飾を導き、酵素を阻害する。本研究では、触媒反応に基づいたリシンメチル化酵素阻害薬を創製する。今後は、令和2年度に得られた阻害薬を基にした設計、合成し、酵素阻害活性評価および酵素阻害メカニズム解析を行う。 ②in vitro in situクリックケミストリー 当研究室は、活性中心に在る金属イオンにより活性化されるアジド-アルキン環化付加反応を開発し、金属含有酵素を標的としたin situクリックケミストリーに本反応が適用可能であることを示した。本研究では、金属含有酵素阻害薬創製のための標的誘導型合成を用いてリシン脱メチル化酵素阻害薬の探索を行う。今後は、令和2年度に合成したアジドフラグメントおよびアルキンフラグメントをもちいて、in vitro in situクリックケミストリースクリーニングを行う。 ③in cell in situクリックケミストリー in situクリックケミストリーにおけるアジド-アルキン環化付加反応の収率は、極めて低いため、細胞活性評価によるスクリーニングは困難である。そこで、本研究では、生体直交型かつ高収率で反応が進行するテトラジン-アルケン間の逆電子要請型Diels-Alder反応を利用する。今後は、令和2年度度に合成したテトラジンフラグメントおよびアルケンフラグメントを用いて、細胞ベースのスクリーニングを行う。
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