研究課題/領域番号 |
21H04817
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
茶山 一彰 広島大学, 医系科学研究科(医), 共同研究講座教授 (00211376)
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研究分担者 |
三木 大樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (10584592)
Hayes C.Nelson 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (50572327)
茶山 弘美 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (70572329)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | NASH / ヒト肝細胞キメラマウス |
研究実績の概要 |
ヒト肝細胞における脂肪化のメカニズムを解明するために、ヒト肝細胞キメラマウスに高脂肪、高カロリー食を投与あるいは普通食の投与、ヒト成長ホルモンを投与するあるいはしないの4群のマウスを作製し、腹部超音波検査により脂肪肝の形成を観察した。ヒト成長ホルモンを投与し、普通食を投与したマウスでは、脂肪化はほとんど認められなかった。ヒト成長ホルモンを投与せず、高脂肪食を投与したマウスでは顕著な脂肪化が認められ、繊維染色を行ったところpericellular fibrosisが認められた。しかし、膠原繊維の沈着は少なく、炎症細胞の浸潤も軽度であった。RNA sequence解析。蛋白の発現解析、リピドーム解析やメタボローム解析を行うために、各群3頭筒のマウスを使用して同様の実験を行う予定であったが、ヒト肝細胞キメラマウスのフェニックスバイオ株式会社における作製が滞っていたため十分な数のマウスが入手できなかった。このため翌年度に予算を繰り越し、マウスの実験を行う予定とした。マウスを入手できるようになり次第、実験を実施し、解析に必要な肝組織を採取してゆく予定である。マウスの作製については2022年度には作製が回復する予定であるとの情報を得ており、実験の実施が可能になるものと考えている。マウスの作製不調の原因については明らかではないが、uPA-scid mouseの何らかの障害により移植できるマウスの数が減少したことが考えられるということであった。これらの障害は克服されつつあるとの報告を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを使用した予備実験は実施済み、proteome解析、RNA sequence解析、metabolome解析は実施予定で実施計画の発案は順調に進んでいる。 またこれらを統合する解析はmixed multi-ome解析が必要である。時間を要する作業であるが、比較的順調に解析の準備は進んでいる。 データの統合が複雑で、時間を要することが予測されるが、令和5年度中には完成させて投稿したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト肝細胞キメラマウスに高脂肪、高カロリー食を投与あるいは普通食の投与、ヒト成長ホルモンを投与するあるいはしないの4群のマウスを作製し、腹部超音波検査により脂肪肝の形成を観察した。ヒト成長ホルモンを投与し、普通食を投与したマウスでは、脂肪化はほとんど認められなかった。ヒト成長ホルモンを投与せず、高脂肪食を投与したマウスでは顕著な脂肪化が認められ、繊維染色を行ったところpericellular fibrosisが認められた。しかし、膠原繊維の沈着は少なく、炎症細胞の浸潤も軽度であった。RNA sequence解析では、それぞれの群に特徴的な遺伝子発現のプロフィールが認められることが予測される。蛋白の発現解析でもやはり各群で特徴的な蛋白の発現が認められると考えられる。リピドーム解析やメタボローム解析も同様で、やはり各群で特徴的なプロフィールが認められる可能性が高い。これらの結果から、脂肪化を促進する因子、抑制する因子を抽出するような解析を行っている。これらのデータの統合を試みているが、異なるプラットフォームのデータの統合を行わなければならない。このため、様々な解析方法を用いて統合を試みている。最終的には高度の脂肪化に特徴的なRNA発現データ、蛋白発現データ、メタボロームデータをデータベース化し、web上の公開サイトに公表する予定である。現在最終的な統合解析を行っており、論文発表に向けて最後の実験を実施、投稿用の原稿の作成を行っている。令和5年度中には最初の投稿を行いたいと考えている。
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