研究課題
令和5年度では、加齢に伴う心筋細胞でのミトコンドリア量減少のメカニズムについて検討を行った。これまでの研究成果から、3ヶ月齢の若齢マウスに比べ、25ヶ月齢の高齢マウスの心臓組織では、ミトコンドリア量の減少が確認され、マイトスタシス制御の変容が示唆された。そこで、ミトコンドリア生合成について検討したところ、老化個体の心臓では、ミトコンドリア生合成因子であるTFAMの発現が低下しており、TFAMの発現誘導に関わる転写因子の発現も低下していることを見出した。前年度において、心保護作用を有するCarenの発現が、高齢マウスの心筋細胞で減少すること、全身でCarenを高発現する高齢Tgマウスでは、ミトコンドリア量の減少が抑制されることが明らかとなった。このCarenによる心保護作用の機序として、ミトコンドリア生合成促進と心機能低下につながるDNA損傷応答活性化の抑制が重要である。これまで、ミトコンドリア生合成促進とDNA損傷応答活性化抑制は別のメカニズムであると考えられた。しかし、本年度の解析から、Carenによってその発現が抑制されるDNA損傷応答活性化因子がミトコンドリア生合成を抑制していることを示唆する成果が得られた。実際、高齢マウスの心臓では、Carenの発現低下によりDNA損傷応答活性化因子の発現が増加しており、培養細胞を用いた解析では、当該因子のノックダウンによりTFAMの発現が増加することを見出した。以上より、加齢に伴いDNA損傷応答活性化因子の発現が増加することで、TFAMの発現が低下し、ミトコンドリア生合成低下によるマイトスタシスの変容が、心機能低下につながると考えられた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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