研究課題/領域番号 |
21H04832
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
米満 吉和 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40315065)
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研究分担者 |
原田 結 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (00608507)
和田 健一 九州大学, 薬学研究院, 特任准教授 (20525919)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | NK細胞 / NK様細胞 / Memory like NK / Emergency NK |
研究実績の概要 |
Washington大学のグループより初めて報告された「サイトカイン(IL-12/15/18)誘導性 memory-like NK」は、それ以前に報告されていたヒトサイトメガロウイルス(CMV)再感染 に対するNK細胞の即応性(即時型の強力なインターフェロンγ:IFN-g産生)を指標として同定されたが、このmemory-like NKとGAIA-102には、通常の活性化NK細胞にはほとんど発現が無い/微弱である活性化分子群(NKp30など)やケモカイン受容体群(CCR5/CCR6/CXCR3など)の発現レベル・パターンについて類似性があり、加えてGAIA-102にはmemory-like NKと同様に、IL-12/15/18刺激に対する強力な即時型のIFN-g 産生を示すことを明らかにし、特許取得済みのGAIA-102の培養系のアドバンテージを最大に活かすことにより、これまでの知見を更に網羅的に拡張した。 このmemory-like NKの培養技術を開発したWashington大学のグループは、治療抵抗性急性骨髄性白血病(AML)への初期試験(Phase I)で完全寛解57%、更にその改変レジメンにて驚くべきことに完全寛解100%(AML 15例)を得たことを発表している。本研究では、我々の提唱する‘Emergency NK’(GAIA-102)の生物学的な意義とその特性を、特にmemory-like NKとの異同の観点から解析し、臨床応用のための基盤データ取得を進めているが、並行してGAIA-102の治験を3つの異なる思想のもとで進行中である。2021年度に肺がんを対象としてスタートし、2022年度には順次対象疾患を拡大した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現アレイデータの3次元マッピング(PCA: Principal Component Analysis)+遺伝子クラスタリング解析データは取得出来ており、またGAIA-102とmemory-like NKにおけるDNAメチル化パターンに対するbisulfite sequencing法によるデータも取得済みである。
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今後の研究の推進方策 |
GAIA-102は製造工程でIL-12/15/18を一切使わないにも関わらず、上記のごとくIL- 12/15/18にて誘導したmemory-like NKの機能を有する。これはmemory-like NKと共通し たシグナルをGAIA-102が活用している可能性を示唆する。1のアレイデータと2メチ ル化パターン解析データを組み合わせ、最も重要と考えられるシグナルパスウェイを 予測し、各種シグナル阻害薬等によるloss-of-function実験により確定する。
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