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2023 年度 実績報告書

皮膚完全再生に資する胎生・成体期創傷治癒機構の空間的トランスクリプトーム解析

研究課題

研究課題/領域番号 21H04838
研究機関長崎大学

研究代表者

森 亮一  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30509310)

研究分担者 貴志 和生  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40224919)
奥崎 大介  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (00346131)
水野 聖哉  筑波大学, 医学医療系, 教授 (10633141)
研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2025-03-31
キーワード1 / 空間的トランスクリプトーム解析 / シングルセル解析 / 炎症 / 瘢痕
研究実績の概要

1.マルチオミクス解析法の確立(森、奥崎):皮膚創傷治癒研究に資するマルチオミクス解析法を確立し、空間的トランスクリプトーム解析結果の解像度上昇、各スポットにおける細胞種の割合を可視化することに成功した。その結果、各種細胞種の分布を明らかにすることができた。さらに CellChat 情報を参考にして、各種スポット間のシグナル伝達経路の強度を COMMOT 法を用いて解析を行った。その結果、生理活性物質におけるシグナル伝達経路と細胞外マトリックス間のリガンド:受容体相互作用において、特徴的な法則性が存在することが示された。このシグナル伝達経路の方向性の破綻は、創傷治癒病態発症へと繋がると推測される。
2.シングルセル解析(森、貴志):成体及び胎仔皮膚創部サンプルを用いてシングルセル解析を実施した。その結果、両者に共通する重要シグナルとしてインターロイキンシグナルを同定することができた。このインターロイキンシグナルは、線維芽細胞マーカーの発現及び細胞外マトリックス遺伝子の発現制御を介して、線維芽細胞の活性化制御に関与している可能性が高い。
3.新規遺伝子改変マウスの作製及び機能解析(森、水野):種々の Integrin beta-like 1 (Itgbl1)遺伝子改変マウスを用いて機能解析を行った結果、Itgbl1 は線維束形成に関与することが示された。また、Itgbl1 イメージングマウスを用いて機能解析を行った結果、正常皮膚に存在する Itgbl1 陽性細胞の一部は、受傷後創部へ遊走し治癒に関与しいてることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マルチオミクス解析の確立及び遺伝子改変マウスの作製並びに機能解析を終え、現在は論文再投稿準備中である。
また、本研究により炎症細胞由来細胞外マトリックス蛋白質が、創傷治癒において重要であることが示唆された。細胞外マトリックス蛋白質は主に線維芽細胞から生産される蛋白質として知られているため、炎症細胞由来細胞外マトリックス蛋白質に着目した研究成果発表は少なく、興味深い知見であると考えている。
以上の理由によって、「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は、最近公表された高解像度空間的トランスクリプトーム解析を行い、更なる先端技術の応用に挑戦する。さらに正常皮膚創傷治癒モデルでなく、病態皮膚モデルを用いて解析し、難治性皮膚潰瘍の新規治療法開発に繋げたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Bristol(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Bristol
  • [学会発表] Spatial and single-cell transcriptomic analyses in murine skin wound model2024

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Mori
    • 学会等名
      Gordon Research Conference - Tissue Repair and Regeneration
    • 国際学会
  • [学会発表] マルチオーム解析を用いた皮膚創傷治癒関連線維芽細胞の多様性機構の解明2024

    • 著者名/発表者名
      森 亮一
    • 学会等名
      第 112 回日本病理学会総会

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公開日: 2024-12-25  

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