研究課題/領域番号 |
21H04839
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
藤岡 正人 北里大学, 医学部, 教授 (70398626)
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研究分担者 |
細谷 誠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30645445)
栗原 渉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90826926)
水足 邦雄 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 講師 (40338140)
小島 博己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60234762)
岡野 ジェイムス洋尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90338020)
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60160694)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | 内耳性難聴 / 聴覚医学 / hiPS細胞 / 霊長類モデル / IoTセンシング |
研究実績の概要 |
霊長類難聴モデル研究では、胎生期マーモセットの内耳を複数のタイミングで採取し、single-cell refSeqによる網羅的遺伝子発現解析を行っている。成体マーモセット難聴モデルでは、個体の行動や社会性の変化と、並行して生じる脳内ネットワークの構造変化を観察した(Hirabayashi et al, in preparation)。 内耳iPS細胞研究では、当チームで過去に特許出願した3件の細胞誘導プロトコルについて、その再現性と効率をより高める目的で、同様に網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、オリジナルプロトタイプの誘導法(日本国特許6218152; Hosoya et al, Cell Rep)では、耳包に相当する内耳幹細胞のマーカの中でもPax2.Pax8が同時に転写されている細胞集団を渉猟できなかった。今後も更なる検討を要するものの、少なくとも、本誘導法で成熟細胞の誘導効率が著しく低い原因の一つとして考えられ、細胞移植や疾患iPS細胞創薬などへの医用応用に用いるには、誘導法の改善が必須と考えられた。 これと並行し、これまでの誘導法とは大きく異なる2つの新手法を確立し、報告した(Kurihara et al, 2022, Saeki et al, in press)。前者では電気生理学的にも成熟した細胞を確認し、後者では網羅的解析遺伝子発現解析で前駆細胞、成熟途中細胞を見出した。 IoTセンシングによる連日自宅検査についてはデータ取得携帯アプリを確立し、臨床試験の準備を行った。難聴体質を予測する全ゲノム解析についてはimputation法を併用し複数の聴力関連SNP候補を見出すとともに、遺伝子改変マウスによる候補遺伝子のin vivoでの加齢性難聴の評価をすべく、C57BL6マウスの若年発症型進行性難聴の原因SNPを修復したマウスを導入し聴覚基礎データを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の藤岡が2022年2月に北里大学の教授に赴任し、主たる研究リソースの多くの引越作業を要したため、研究進捗としてはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
マーモセットモデル研究では胎生期でのpsuedo-timecourse解析と、成体難聴モデルでの網羅的遺伝子発現解析を並行して行う。成体マーモセット難聴モデルについては、創薬応用について国内外の製薬企業から依頼を受けていることもあり、今後社会実装に向けたシステム構築を並行して行う。 内耳iPS細胞研究では、さらにタイムポイントを増やした網羅的遺伝子発現解析を行う。iPS細胞研究はiPS細胞も含めたリソースを北里大に移管し終えたので、今年度はその細胞の立ち上げから確実に行っていく。特に、今回報告した2つの新手法に加え、さらにもう一つのを現在確立中であり、投稿する。これらの新規誘導法を駆使することにより、内耳性難聴に対する疾患iPS細胞研究を強力に推進する。 IoTセンシングによる連日自宅検査については、臨床試験を行っていく。難聴体質を予測する全ゲノム解析については見出した複数の聴力関連SNP候補について、学外および海外の施設でのreplicateを取得するとともに、p値の小さいものから順に遺伝子改変マウスモデルを作成して聴力測定を行っていく。
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