研究課題/領域番号 |
21H04845
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
辻 一郎 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20171994)
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研究分担者 |
菅原 由美 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20747456)
萩原 嘉廣 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90436139)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / コホート研究 / 災害疫学 / メンタルヘルス / 社会疫学 |
研究実績の概要 |
石巻市沿岸部の住民と仙台市若林区でプレハブ仮設住宅に入居した者を対象に、被災者健康調査(アンケート調査)を実施し、震災12年目の被災地域住民の健康状態や生活環境の推移などを把握した。 本年度は、石巻市3地区で2,033人(雄勝地区1,006人、牡鹿地区940人、網地島地区87人)、仙台市若林区(プレハブ仮設住宅に入居した者)で375人、対象地区合計2,408人から回答が得られた。 調査結果の概要を述べる。第1に、居住形態は、前年度(2021年度)調査と比べて、変化は見られなかった。第2に、睡眠障害が疑われる者の割合は前年度39.7%から37.8%に減少したものの、全国平均28.5%より高かった。第3に、心理的苦痛が疑われる者の割合は11.9%から14.2%に増加し、全国平均10.0%より高かった。第4に、暮らし向きが「大変苦しい」「苦しい」と答えた者の割合は17.6%から24.6%に増加した。第5に、高齢者の生活不活発は、「遠くへも一人で歩いている」の割合が46.6%から42.2%に減少した。第6に、新型コロナウイルスの影響は、「たいてい/いつも不安を感じる」と回答した者の割合は44.9%から34.7%に減少したものの、「外出頻度に変化があった」や「収入に変化があった」と回答した者の割合は横ばいであった。 震災から12年目となり、被災者の居住環境は安定してきたが、被災後の生活環境の変化および新型コロナウイルス感染症の拡大が、被災者のメンタルヘルスや身体活動量に影響を与えた可能性が示唆された。 さらに、本年度は、被災者健康調査のデータから個人情報を削除したデータベースを構築し、データアーカイブのための整備を進め、調査情報の一部を公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、おおむね順調に進展している。研究結果に関しても、当初予期していないことは起こっていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究事業は当初の計画通りに進捗しており、今後も計画通りに進めていく予定である。研究対象者は10年以上にわたって調査に協力してくださっており、安定した回答率を維持しているため、今後も協力を続けてくださるものと思われる。 また、研究データをデータアーカイブに寄託する計画についても、順調に進んでおり、すでにデータの一部を東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターに寄託し、アーカイブ化されている(関連サイトは下記の通り)。今後も問題なく進むものと思われる。
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