研究課題/領域番号 |
21H04856
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
田淵 貴大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター疫学統計部部長補佐 (20611809)
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研究分担者 |
清原 康介 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (80581834)
西浜 柚季子 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 特別研究員 (10806235)
村山 洋史 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (00565137)
大川 純代 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力局, 上級研究員 (50747673)
山地 太樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 室長 (10466203)
柿崎 真沙子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20580872)
金廣 有彦 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (20243503)
野村 章洋 金沢大学, 附属病院, 特任准教授 (30707542)
尾谷 仁美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター政策情報部生物統計研究職 (70896886)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 新型タバコ / タバコ対策 / 既存統計資料 / 健康格差 / 疫学実証研究 |
研究実績の概要 |
現在でも喫煙は日本人の死亡に最も寄与している可変要因である。近年、電子タバコや加熱式タバコといった新型タバコ製品が登場し、そのことが喫煙や飲酒等日本人のライフコース全般にわたる健康行動に大きな影響を与えている。2016年10月時点においてフィリップモリス社の加熱式タバコであるアイコスは世界10ヶ国以上で販売されていたが、その販売シェアの96%は日本であり、日本が世界最大の加熱式タバコの実験場となっている。世界的な注目を集めており、日本からこそ加熱式タバコのエビデンスを出していかなければならない。 本研究の目的は、日本における新型タバコに関して、(1)ライフコースに応じた詳細な使用状況(使用の決定要因の解明を含む)、(2)その他の健康行動、飲酒・肥満など様々な健康指標との関連、(3)禁煙への影響、を明らかにすることである。日本の一般住民を対象としたインターネット調査を毎年繰り返し、日本を代表するコホート研究データも活用し、新型タバコ研究を継続的に展開する。精緻な統計学手法で解析し、論文を出版し、結果として政策立案者に有益な情報提供をする。 2022年度には、加熱式タバコを使っていると紙巻タバコの禁煙がしにくく再発しやすいこと(Odani 2023)、医師によるオンライン禁煙外来や保健師によるオンライン禁煙介入の効果は加熱式タバコ使用状況により異なること(Nomura 2022; Noda 2023)、加熱式タバコ使用はCOVID-19感染リスクや重症化リスクを高める可能性があること(Nishimura 2023)など新型タバコやタバコ対策に関する本研究プロジェクトに関連する論文10本以上(研究業績欄参照)をPublishし、新聞や雑誌等の記事にもなり、脱タバコメディアキャンペーンとして機能させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に研究成果が出ている一方で、一部のプロジェクトはデータ化および論文化に時間を要する。研究ミーティングを定期的に開催するなどにより進捗を促していく。
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今後の研究の推進方策 |
日本全国の一般住民に対するインターネット調査(JASTISxJACSIS研究)を継続的に実施する。インターネット調査だけでなく、日本を代表するコホート研究(エコチル研究、JPHC-NEXT研究、JAGES研究)および禁煙外来データも活用して、目的1~3について分析する。国民生活基礎調査や中高年者縦断調査・21世紀出生児縦断調査等の政府統計データなど既存統計資料も活用してタバコ使用や飲酒・肥満等様々な健康指標の推移を明らかにし、新型タバコ使用状況の推移との関連について考察する。研究方法の概要は下記の通りであり、2023年度にはそれぞれのデータ分析の成果の論文化を目指す。 1.毎年のインターネット縦断調査JASTISxJACSIS研究プロジェクト(調査対象者の設定や調査票の更新作業、調査会社との打ち合わせ等)を円滑に実施し、データを分析する(毎年の加熱式タバコ使用状況の最新データを報告する・タバコ対策等の各種要因と新型タバコ使用との関連を明らかにする等) 2.各コホート研究データの分析(エコチル研究、JPHC-NEXT研究、JAGES研究それぞれにおいて新型タバコ使用状況の実態把握を行い、将来の健康影響評価につながる枠組みを検討する等):各種データでの論文化を目指す。 3.オンライン禁煙外来データの分析(禁煙外来受診者情報等を分析し、新型タバコが禁煙行動に与えた影響等を分析し、論文にまとめる) 4.国民生活基礎調査・中高年者縦断調査データなどの既存統計資料の分析(経年的な喫煙・飲酒など健康行動関連状況の推移およびその関連要因の分析等) 研究最終年度までに、上記1~5を統合した結果の解釈等の検討を行い、総合的な新型タバコ規制政策の立案への示唆を得る。成果を統合し、論文および書籍として出版する。
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