研究課題/領域番号 |
21H04859
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
河本 浩明 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00400713)
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研究分担者 |
戸田 英樹 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (10520687)
羽田 康司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80317700)
久保田 茂希 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90763798)
渡邉 大貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00779572)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 運動転送 / ロボット / 左右両側性協調運動 / 運動学習 |
研究実績の概要 |
脳卒中後の片麻痺のリハビリテーションでは,麻痺が残っても代償的に運動機能を使うようにしていくことが優先されている.早期の自立生活のために重要視されるべきではあるが,脳神経系の可塑性や機能再構築に関する科学的知見が深まり,再生医療やサイボーグ技術が急速に進化していく中,これらの技術を活用し,発症前の身体に戻す運動機能回復法を創出することは学術研究として取り組むべき課題である. 本研究の目的は,手指,足首関節を対象に,ロボット技術を基に健常な非麻痺側運動パターンを麻痺側に移し再現する運動転送システムを構築し,本システムによる左右協調運動を通じて,非麻痺側の運動パターンを麻痺側が学習していく運動機能回復法を開発することである.非麻痺側の運動を麻痺側の感覚情報として利用するといった教師あり学習を基盤とする運動機能回復方法は,今後,片麻痺リハビリテーションにパラダイムシフトをもたらす可能性を有するものである. 本年度は,これまでの先行研究で得られた知見に基づき,試作機として手指関節,及び足関節用の運動転送システムの研究開発を実施した.装着型ハンド運動転送システムでは,健側の手指動作をカメラ画像から運動情報として取得し,外骨格型ハンドへ転送し,指手の支援動作が実施可能であることを確認した.また,足関節運動転送システムでは,これまで開発してきた足関節支援装置とほぼ同一形状の足関節運動計測装置を開発し,加速度センサによって計測された足関節情報を足関節支援装置に転送し,同位相運動,逆位相運動(交互運動)が実施可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,これまでの先行研究で得られた知見に基づき,試作機として手指関節,及び足関節用の運動転送システムを中心に研究開発を進め,ほぼ計画通りに研究開発を進めた. (1) 装着型ハンド運動転送システム: 健側の手指運動情報の取得をするために,カメラと深度情報を組み合わせた画像処理方法を基に,指関節の関節角度を計測するセンシングシステムを開発した.麻痺側の手指動作を支援する装着型ハンドでは,これまで開発してきた知見を基に,ワイヤー駆動によって支援する機構による各手指が屈曲-伸展可能な装着型ハンドを開発した.健側からの手指運動に連動して,麻痺側の外骨格ハンドが動作することを確認するとともに,次年度に向けた課題を抽出した. (2) 足首関節運動転送システム: 非麻痺側の足首状態計測と,足首の角度が計測可能なセンサを組み込み,リアルタイムに足首運動状態を把握する計測デバイスを開発した.足関節運動支援システムでは,これまでの先行研究成果に基づく知見を基に,背屈-底屈運動の足関節運動支援が可能な装置に拡張した.また,非麻痺側足関節の屈曲-伸展運動によって,非麻痺側足関節の同位相運動,逆位相運動(交互運動)が実施可能である事を確認した. (3) 運動転送制御方法: 計測した非麻痺側手指,及び足関節の関節角度パターンから,装着ハンド,及び足関節支援装置が非麻痺側運動と連動して動作するPID制御に基づく制御系を構築した. (4) 機能評価: 開発した手指,及び足関節運動転送システムの機能を評価するために,健常者を対象とした評価試験プロトコルとして,試験手順,試験環境を決定すると共に,試験機器,試験手順,試験環境の安全性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度開発してきた試作機となる手指関節,及び足関節用の運動転送システムの開発をさらに進め,健常者を対象とした実証試験を実施する.各システムで試験-課題抽出-改良のサイクルを繰り返し,試作機の安全.性能評価を行う. (1) 装着型ハンド運動転送システム: 昨年度開発した健側の手指の屈曲-伸展動作をカメラ画像によって推定するセンシングシステムに対して,動作時の各手指の関節角度を安定に推定する手法を開発する. (2) 足首関節運動転送システム: 計測した非麻痺側足関節の屈曲-伸展動作に基づく支援装置関して,駆動に関する応答性能の調整機能を追加する. (3) 運動転送制御方法: 計測した非麻痺側手指,及び足関節の運動パターンから,装着ハンド,及び足関節支援装置が非麻痺側運動と同期して動作する制御系を引き続き開発,改良する. (4) 機能評価:開発した手指,及び足関節運動転送システムの機能を評価するために,本年度度から検討してきた健常者を対象とした試験プロトコルを確定し,倫理審査からの承認を得る.承認後,本試験プロトコルを基に実証試験を実施し,各転送システムの安全性・基本性能を明らかにすることができる.また,実証試験で得られた課題を抽出し,改良点を把握し試作機を改良すると共に,実証機の開発に向け要求仕様を検討し決定していく
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