研究課題/領域番号 |
21H04861
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中川 嘉 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (80361351)
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研究分担者 |
島野 仁 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20251241)
長谷 耕二 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (20359714)
戸邉 一之 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (30251242)
樋上 賀一 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (90253640)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 脂質代謝 |
研究実績の概要 |
CREBH欠損(KO)マウスに長期間高脂肪・高ショ糖食を負荷すると肝がんを生じるが、その前段階で変化を捉えるため。3か月間、負荷し、肥満、脂肪肝を誘導したところ、著しく悪性化した脂肪肝を呈した群(脂肪肝増悪化群)とさらに肝硬変にまで悪化した群(肝硬変群)の段階的な2群に分かれた。一方、正常(WT)マウスでは単純脂肪肝を呈する程度であり、CREBH欠損が病態を激しく悪化させたことになる。この際の肝臓で網羅的に遺伝子発現解析(RNA seq解析)を行い、CREBH欠損による病態悪化に連動する遺伝子発現変化とそれに関連する細胞機能パスウェイを探索した。その結果、病態悪化の原因となりえるパスウェイとして、細胞周期、炎症反応、脂質代謝などが抽出されてきた。また、病態悪化に関連する可能性のあるCREBH特有の遺伝子も特定できた。同時に腸内細菌叢変化の解析データも取得しており、その解析では腸内で炎症を惹起するとされている腸内細菌の増加がCREBH KOマウスの両群で抽出されてきた。さらに、両データを統合的に解析し、病態悪化のメカニズムについて腸―肝連関から解析を進めている。 WTマウスへ高フルクトース食を負荷した際に、CREBHタンパクの増加を確認した。その際、CREBHには糖鎖修飾(糖鎖付加)され、タンパク分解から回避することでタンパクの安定化を引き起こした。このメカニズムがCREBHを活性化させる新たな活性化機構であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CREBHKOマウスに3か月間、高脂肪・高ショ糖食を負荷したところ、脂肪肝増悪化群と肝硬変群に分かれた。WTマウスでは単純脂肪肝を呈する程度であり、CREBH欠損が病態を激しく悪化させた。この際の肝臓サンプルをRNA seq解析を行い、CREBH欠損による病態悪化に連動する細胞機能パスウェイを解析し、原因となりえるものを見出している。脂肪肝増悪化群では脂質代謝酵素群の遺伝子発現異常が顕著であるのに対し、肝硬変群では炎症関連の遺伝子発現の上昇、細胞増殖に関連する遺伝子の発現異常が顕著に見られており、肝臓代謝とともに機能の異常が観察できた。増悪化する過程の中で進行度に違いが見られる原因となりえるメカニズムの同定を進めるべく、腸内細菌叢の変化も解析した。 WTマウスへ高フルクトース食を負荷した際に、CREBHタンパクの増加を確認した。その際、CREBHには糖鎖修飾(糖鎖付加)され、タンパク分解から回避することでタンパクの安定化を引き起こした。このメカニズムがCREBHを活性化させる新たな活性化機構であることを見出した。CREBHはこの糖鎖付加の原料となる糖の合成酵素の発現を制御することを明らかした。結果的にCREBHは自身の活性化を上昇させるためにするオートループ機構を形成していることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
CREBH KOマウスで観察できる病態の増悪化過程の中で見られる進行度の違いを引き起こすメカニズムの同定することで脂肪肝から肝ガンを引き起こす主要因を同定していく。このマウスでの腸内細菌叢の変化についての解析データも取得しており。両データを統合的に解析し、病態悪化のメカニズムについて腸―肝連関から解析を進めていく。
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