研究課題/領域番号 |
21H04866
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
澤田 泰宏 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院 臨床研究開発部(研究所併任), 臨床研究開発部長 (50313135)
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研究分担者 |
木野 久志 東北大学, 医工学研究科, 特任准教授 (10633406)
篠原 正浩 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究室長 (60345733)
吉野 大輔 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80624816)
崎谷 直義 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (30824859)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | 適度な運動 / 恒常性維持 / 抗炎症 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
脳慢性炎症のマウスモデルとして高脂肪餌飼育を導入した。従来の麻酔下の受動的頭部上下動介入では、麻酔の影響で高脂肪餌を摂取しなくなるという問題に加え、麻酔のみで認知機能や不安様行動に明らかな影響が出るという問題を認めた。これを解決すべく、無麻酔での受動的頭部上下動の系の構築を行った。50 mLチューブを加工した緩やかな保定と暗所での実験実施により無麻酔で受動的頭部上下動を行うことがほぼ可能となった。しかし、高血圧プロジェクトにおいて、ラットに対する受動的頭部上下動のPOCとしてヒト対象の臨床試験を行った際に用いた座面上下動椅子搭乗では、頭部以外の身体部分にもメカニカルストレスが加わる。そこで、将来的な臨床への展開を考慮した場合、受動的頭部上下動に固執する必要はないと判断し、頭部のみへのメカニカルストレス印加とはならないものの、麻酔を必要としない受動的身体上下動(頭部のみならず全身を上下動させる)の実験系の構築に取り組み、これを確立した。高脂肪餌飼育実験で用いるマウスについて、C57BL/6JかC57BL/6Nかといった細かい条件設定も行った。高脂肪餌飼育で生じる脳機能変容が受動的身体上下動により有意に軽減されるという実験結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
身体運動をメカニカルストレスととらえ、それによる脳機能維持効果を観察するための実験系を確立し、さらに、有意な脳機能維持効果を検出した意義は大きく、全体としての進捗は概ね順調と自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
・脳内メカニカルストレス実測あるいは高精度推定算出: 培養細胞用の流体剪断力印加実験系を用いて、作製が完了している脳内流体剪断力実測用センサー試作機のキャリブレーションを行った上で、マウスの大脳皮質(前頭前野)での実測実験を行う。ただし、実測が達成されなかった場合の対策として、正確な脳内間質流速計測による高精度推定算出法の開発を並行させる。 ・脳の慢性炎症に対するメカニカルストレスの効果の検討: 受動的身体上下動の系を用いて高脂肪餌飼育による認知機能低下をリードアウトとした解析を行う。さらに、認知機能に影響を及ぼすことが報告されている咀嚼機能低下の実験系も導入する。 ・骨格筋の慢性炎症実験について: マウスの後肢ワイヤー固定による不動化実験を再開する。不動化で生じる骨萎縮との連関に注目した解析を行う。
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