研究課題/領域番号 |
21H04878
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
戸出 英樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20243181)
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研究分担者 |
谷川 陽祐 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90548497)
近藤 大嗣 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10844160)
廣田 悠介 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所フォトニックICT研究センター, 主任研究員 (20533136)
藤本 章宏 和歌山大学, 学術情報センター, 助教 (30711551)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 稠密空間分割多重光網 / 経路・周波数・コア/モード割当 / 転送プロトコル / クロストーク / 3層クラウドネットワーク |
研究実績の概要 |
(ア-1) Dense SDM-EONに適した資源割当設計・制御機構として,干渉レベルの異なるコア割当優先度のマッピングパターンを,マルチコアファイバ環境で適用可能な六方最密格子型の形態で複数導出する一般化されたアルゴリズム,ならびにそれらをクロストークの許容度に応じて適応的に複合利用する割当アルゴリズムを提案・評価した. (ア-2) バッファレス光パケット網環境において既存のTCPをベースとし,RTTに応じた適切な周期でTCPウィンドウフロー制御に基づくパケットのバースト転送のタイミングを制御する機構を具備したTCP with Timer-Triggered Transmission (TCP-T3) を新たに設計・提案・評価した.また,同環境における最新のTCP-BBR,データセンター向け輻輳制御機構の特性,さらにReservoir ComputingやRNNなどの機械学習機構を用いたTCPレート制御機構を構築し基礎調査した.次に,コア間の干渉による信号劣化に耐性をもつ転送プロトコルとして,LT Coding をベースとし,累積ACK機構を併用する転送プロトコルを設計し,基礎評価を行った.さらに,NICTにおいて上記2つの転送プロトコルに対する基礎評価のためのプロトタイプ実証実験を行った.
(イ) End-Cloud部の高度化技術として,エンドクラウドが保有する計算機資源情報を取得し,利用要求に対して無線端末と計算機資源量の組み合わせを適切に選択するアルゴリズムを提案し,その有効性の基礎評価を行った.また,P2P型の資源やセンサ情報の探索技術として,性質の異なる2つのSkip Graphを融合させたアルゴリズムを,ICN型の計算資源探索技術として,Resource Breadcrumbs (RBC)に基づく探索法を提案・評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(ア-1) の成果として,干渉レベルの異なるコア割当優先度のマッピングパターンを一般化された形態で複数導出し,クロストークの許容度に応じて適応的に割当てるアルゴリズムを提案・評価した.その成果がIEICE PN研究会,国際会議PSC2021にて発表され,IEICE PN研究会若手研究賞,PN研究会学生奨励賞を受賞した.(ア-2) の成果として,TCP-T3 を新たに提案・評価し,実証実験も行った.その成果が国際会議ICETC2021,IEICE PN研究会学生ワークショップで発表され,Student Presentation Award,IEICE PN研究会学生ワークショッププレゼン賞を受賞した.また,実証実験も含めた成果を論文化し,当該分野の旗艦国際会議であるACM Sigcomm 2022に投稿した(結果は不採択 (2022年4月14日).OSA/IEEE JOCNに投稿準備中).計画前倒しで,最新のTCP-BBRの特性,データセンター用輻輳制御の特性,機械学習によるレート予測機構の基礎評価を行い,2022年度の成果展開への足掛かりを得た.さらに,Packet Level Erasure Codingと累積ACK機構を併用したパケットエラー耐性の高い転送プロトコルを提案・評価し,基礎実証実験も行った.この成果はIEICE総合大会とPN研究会で発表された.(イ)の成果として,エンドクラウドが保有する計算機資源情報の取得,及び無線端末と計算機資源量の組み合わせ選択を実現するアルゴリズムを確立し,IEICE総合大会で発表した.一方,P2P型のSkip Graphをベースとした計算資源やセンサ情報の探索手法を確立し,その成果がIEICE EB論文誌に採択された.さらに,ICN型のRBCに基づく計算資源探索法を確立し,その成果がIEEE COMPSAC 2021に採択された.
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今後の研究の推進方策 |
(ア-1) Dense-SDM-EON動的資源割当設計・制御に関して,負荷増大に対するブロッキング性能のGraceful Degradation,ファイバ内コア数や伝搬特性などマルチコアファイバの特性が不均質なネットワーク環境への適応に着目して拡張提案を行う.特に,クロストークインパクトの異なる経路長,ユーザ固有のパス優先度,エンド間で同時設定されるパスグループ数などの特性にも配慮する. (ア-2) 2021年度に提案した,TCP-T3 のさらなる詳細設計を行い,クロストークの低減機能の拡張を図る.また,コア・周波数スロット資源の利用情報を活かした機械学習に基づくクロスレイヤ制御型のInter-Core Adaptive & Parallel Transport機構を提案・評価する.さらに,Packet Level Erasure Codingと累積ACKを併用した転送法の改良,及び隣接コアにかかるクロストークレベルに応じて高いエラー耐性のコーディングを適用するXT-Impairment-Aware Packet Level Erasure Coding方式を提案する. (イ) End-Cloud部の延伸拡張と高度化技術として,エッジ・エンドクラウド網環境における,集中型(SDN)・P2P型,情報指向網(ICN)型アプローチに基づくオブジェクト検索・取得・配信制御フレームワークの検討・設計をさらに進める.2021年度の発展として,エッジクラウドとエンドクラウドを相互結合し,低い処理負担,高い生存性,高い情報収集・配信能力を達成しつつ網外辺の無線領域を拡張できるネットワーク制御手法を詳細設計する.
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