2022 年度実績報告書

放射線シミュレータの新展開

研究課題

研究課題/領域番号	21H04881
研究機関	大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
研究代表者	佐々木節大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (50259983)
研究分担者	村上晃一大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 准教授 (10353369) 藏重久弥神戸大学, 先端融合研究環, 教授 (20205181) 山下智弘神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20567086) 大町千尋名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (20588967) 阿蘇司富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (30290737) 歳藤利行名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30377965) 岡田勝吾大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助教 (40731732) 田中覚立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60251980) 木村彰徳足利大学, 工学部, 教授 (60373099) 小井辰巳中部大学, 工学部, 教授 (60831774) 尾崎正伸国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90300699)
研究期間 (年度)	2021-04-05 – 2025-03-31
キーワード	放射線シミュレーション / 超並列 / GPGPU
研究実績の概要	放射線を扱うあらゆる分野において、放射線の影響を定量的に見積もるために放射線シミュレーションを多用している。放射線シミュレーションは、計算機の進歩と同時に進歩してきた歴史があり、計算機の性能を可能な限り利用して、より高精度でシミュレーションを行いたいという需要に答えてきた。我々は、GPU専用に開発したMPEXS超並列放射線シミュレータに関する研究開発を引き続き行い、計算時間の短縮による統計精度の向上を目指して研究をおこなっている。半導体技術の限界から、CPUの性能の向上は限界に達しており、GPUを用いた超並列計算が広く行われるようになった。今年度も継続して、MPEXSコードの最適化を行うことと並行し、CUDA言語のアップデートや新しいハードウエアに追随し、計算速度をさらに向上させた。主に放射線治療のシミュレーションをターゲットとし、開発を継続している。他の応用事例の探索を並行して進めており、様々な分野の放射線シミュレータのユーザから、要求要件の提示を受け、今後の開発に生かす努力を継続している。放射線治療のシミュレーションに関しては、治療計画装置に組み込み、線量計算の高速化と高度化に貢献すべく、医学物理士や放射線治療装置のメーカーとの議論を続けており、実用化に向けて研究と開発を継続している。治療計画の検証の目的に当初は利用する予定となっている。また、細胞レベルにおける放射線の影響を見積もるためのソフトウエア環境の構築を継続的に行っている。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している理由ソフトウエアの開発は計画通りに順調に進んでおり、応用事例を拡大するための努力が実を結びつつある。細胞レベルにおける放射線の影響をシミュレーションするために必要な環境の整備が進みつつある。最新のGPU製品やCUDA環境への適応も行っている。
今後の研究の推進方策	さらに計算を高速化するためにアルゴリズムの改善や、現状とは別の計算手法の導入を検討している。放射線を扱う様々な分野で放射線シミュレーションは必須の技術であり、既存の放射線シミュレーション用のソフトウエアに比べ、1000倍以上の高速化を目指して研究を続ける予定である。特に需要の大きい放射線治療分野において実用化を目指して、さらなる研究と開発を続ける。細胞レベルにおける放射線の影響を定量的に見積もるために必要な研究を継続する予定である。