研究課題/領域番号 |
21H04913
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
飯山 将晃 滋賀大学, データサイエンス学部, 教授 (70362415)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 深層学習 / 物理モデル / 気象データ / 時系列予測 |
研究実績の概要 |
本年度は、物理モデルと機械学習とを統合した時系列予測モデルの開発に向けて、以下の3つの項目について研究を行った。 (1) Physics Correctness Loss~敵対的学習による物理学的妥当性のモデル化~:「物理学的に妥当である」ことを深層学習モデルによって判定する手法を開発した。敵対的生成ネットワークで構築されるDiscriminatorを用いて海水温の2次元パターンが「本物」の海水温パターンなのかそれとも深層学習によるGeneratorによって生成された「偽物」の海水温パターンなのかを見分ける機構を導入した。本年度はこの機構を時系列予測と画像インペインティングによる雲無し海面水温データの生成に適用しその性能を評価した。 (2) 深層学習による水温予測における気象データの利用: 三陸沖を実証フィールドとして深層学習モデルによる海水温予測モデルのベースラインを構築した。時系列で得られる直近の水温データに加え予測海域付近の日射量・風速などの気象データも入力に含めることで予測精度の向上を果たした。この成果は次年度以降の水温予測手法に対するベースラインとして利用する。 (3) SST Dehazing~散乱モデルの導入による衛星観測からの海表面水温の推定~: 先行プロジェクトで研究した物理モデル+コンピュータビジョンの枠組みを海洋気象推定のドメインに適応することを目標として、本年度は観測データから散乱成分を除去する技術に関する研究を行った。衛星観測データへの適用は次年度への課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Physics Correctness Lossの研究については、時系列予測への導入も含めて当初計画以上の進展が得られた。この成果については次年度に論文として投稿予定である。SST Dehazingについては衛星観測データへの適用は未完了ではあるものの、Dehazingの機構そのものの研究は予定通り進んでおりほぼ順調に進展している。また、当初の予定に無かった項目として、深層学習による水温予測モデルの開発を行った。今後Physics Correctness Lossとの統合により研究を加速することができると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では予定通り研究が進んでおり、次年度も計画に沿って研究が進められる状況である。 情報学と海洋気象との新しい組み合わせである本テーマを推進する上で異分野の研究者とのコミュニケーションが重要であるが、当初の想定よりCOVID19の影響が長引いており、国際会議での海外の研究者との情報交換・研究発表がオンラインで実施せざるを得ない状況である。対応策は限られているがオンラインでの会議への参加頻度を増やすなどにより対応したい。
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