研究課題/領域番号 |
21H04931
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
田村 岳史 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40451413)
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研究分担者 |
草原 和弥 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 研究員 (20707020)
溝端 浩平 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (80586058)
平野 大輔 国立極地研究所, 南極観測センター, 助教 (30790977)
野村 大樹 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70550739)
渡辺 豊 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (90333640)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 南極 / 氷床-海氷-海洋相互作用 / 定着氷 / 氷床・棚氷融解 |
研究実績の概要 |
白瀬氷河底面融解量と外洋からの熱供給との比較 白瀬氷河が存在するリュツォ・ホルム湾で取得した海洋観測データの解析から明らかにした白瀬氷河―海洋相互作用に関する研究結果を、海洋―海氷―棚氷結合モデルによる実験結果と比較・統合し、顕著な季節変動を伴う年間を通じた白瀬氷河舌の底面融解プロセスを明らかにした。海洋―海氷―棚氷結合モデルによる実験結果からは、中層での海流の変動が、沖合の暖水のLH湾湾内への流入の変動の決め手となっている事が示唆された。さらにこの数値モデルの結果からは、LH湾で卓越する存在である沿岸定着氷の存在が、大気海洋間の熱交換を遮断して海氷生成を抑制し、これが沖合から白瀬氷河への暖水流入をより強くする(又は暖かいままにしてたどり着く)要因を作っている事が明らかになった。衛星観測、海洋観測、測地観測、数値モデル結果は全て、白瀬氷河の高い底面融解率を示している。 ケープダンレー周辺域での海氷生産と外洋からの熱供給との比較 ケープダンレー周辺域において、顕著な海氷後退が海面での熱貯留を増やし、東風によりアメリ―棚氷下へ押し込まれると同時に棚氷底面を融解させて、ケープダンレー沖の暖水化・淡水化をもたらす一連の過程が現場観測により捉えられた。このケープダンレーからの底層水流出を数値実験で再現するうえで、観測に基づく詳細な現実地形を考慮することが、流出量の絶対値に大きく影響することが明らかになった。 このように、交付申請書に記載した「研究の目的」及び「研究実施計画」について、上記のように直接的に研究目的に対して成果を上げる事となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように、交付申請書に記載した「研究の目的」及び「研究実施計画」について、直接的に研究目的に対して成果を上げる事となった為。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前述の【白瀬氷河底面融解量と外洋からの熱供給との比較】【ケープダンレー周辺域での海氷生産と外洋からの熱供給との比較】と同様のデータ解析を最新の観測データを用いて複数年にわたって継続実施し、複数年の知見を蓄積する。
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