研究課題/領域番号 |
21H04956
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
平田 晃正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335374)
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研究分担者 |
大高 洋平 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00317257)
田中 悟志 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10545867)
上原 信太郎 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (30725130)
ゴメスタメス ホセデビツト 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60772902)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 脳刺激 / 支援ソフトウェア開発 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
項目1(MR装置による高解像度構造MRI実験および画像処理)脳内電流分布を方向も含めて再現するための人体頭部モデルを構築するためには、大脳灰白質や白質といった脳組織の詳細な解剖情報に加えて、皮膚、脂肪、筋肉などの脳以外の詳細な解剖情報の取得が必須である。そこで、藤田医科大学が有する3テスラMR装置を用いて、1mmの解像度での撮像実験を行った。組織ごとに最適な画像モダリティは異なり、小脳を中心とした脳深部を標的とするため、T1およびT2画像など複数の画像モダリティのデータを取得した。データの処理および人体モデルの構築は、項目2と連携し、機械学習を用いて計算物理モデル実験に特化した人体頭部を構築するソフトウェアを開発し、その動作を確認した。 項目2( MR画像を用いた脳内電流ベクトル分布計算実験)tES電気刺激最適化のための脳誘導電流ベクトル推定ソフトウェアを開発する。特に、電気刺激では電極と皮膚の接合面のモデル化が影響し、電極インピーダンス、ひいては電流の大きさに影響する。脳だけではなく、接合面も考慮に入れ、項目1で得られた画像により、小脳に代表される脳深部の部位を特定、標的とし、電流の向きの流れ易さの方向依存性のモデル実験を行った。具体的には、脳神経の詳細を考慮したμmオーダーのミクロ物理モデルと誘導電流推定の0.2mmのマクロ物理モデルを統合した、マルチスケール物理モデル法を開発、試算環境を整備した。 項目3(健常者を対象とした最適刺激パラメータの実験的検証)現在、病院で個々に実施している刺激の際の電極配置などパラメータに関し、細部を確認する。特に、項目2から得られる最適な電極配置、大きさなどに基づき、臨床研究での安定定性の確認、電極の試作など予備的検討を行う。項目1、2などと連携し、倫理申請を終え、準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各項目、当初予定していた項目はおおむね実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は特に大きな問題なく進行した。その知見をベースに、最適刺激システムの開発および実験の実施に取り組む。2022年度の計画は以下のとおりである。 項目1:3テスラMR装置を用いて、1mmの解像度での撮像実験を行い、複数の画像モダリティのデータを取得してきた。項目2と連携し、機械学習を用いて計算物理モデル実験に特化した人体頭部を半自動で構築するソフトウェアを開発、取得画像から物理解析までお一気通貫で実施できるシステムとする。 項目2:次年度以降取り組む患者ごとの最適刺激ソフトウェア開発を念頭に入れ、研究1で構築した電気的頭部モデルに電極の位置および形状を変化させるインターフェイスを開発する。特に、①個々人の組織構成、②電極の配置、③電極の大きさなどに対するシミュレーションを実施し、計算物理モデル実験において、何が脳内誘導電流密度に影響を与えるかについて考察する。また、臨床研究で重要となる皮質運動野周辺および小脳に誘導される電流ばらつきについて統計処理を行うものとする。 項目3:研究2の物理解析で示された小脳における電流密度の個人差と、tESによる興奮性増大の個人差の相関について検証する。小脳へのtES実施前後に、一次運動野への磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation)により誘発されるMEPを計測し、MEP振幅値の減少により小脳抑制を評価する。なお、磁気刺激に関する検討についても、tES同様のアプローチを行い、神経刺激について考察を行う。
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