研究実績の概要 |
“乱流”依存的な血小板産生機構を新たに発見し、人工血小板の生体外製造に活用したがその詳細な分子機構は明らかではない。 本研究では、脂質二重膜、血小板産生の場が時空間的に多様・不均一に再構成される分子メカニズム解明を実施し、連続的、多段階的な物理刺激制御による大規模血小板製造システムの構築をに向けた研究計画を立案した。 具体的には、巨核球の成熟多様性が物理刺激の複数のセンシングレセプターの継時的な感受性変化によるという仮説を実証し、新たな構造設計プランに基づく培養槽の稼働最適化を目指した。 その達成に向けて必須となる基礎的な検証として、乱流刺激・ずり応力の感受性の異なる複数受容体(HDAC6およびITF27依存的に突起の進展制御をしている繊毛cilia様構造体、TRPV, TRPCファミリー)を以前から見出していたが、各標的の時空間的発現と機能の相関関係を新たに見出した。また、巨核球の成熟促進薬物として以前に報告したRho accociated kinase阻害剤、Aryl hydrocarbon(ダイオキシン)受容体阻害剤が巨核球の成熟に伴う細胞肥大、proplatelet作出、促進を起こすメカニズム解明に関し進展した。 また、2018年に発表した上下攪拌装置を用いた300mLスケール培養槽、せん断ずり応力依存マイクロチップチャンバー型血小板製造装置を用いて、脂質二重膜の再構成(remodeling)、細胞質再構成、ミトコンドリアの増加と分配を指標に、巨核球の成熟度を分類することが出来た。以上の結果をもとに基盤研究Sにおいて採択された計画の実施に反映させていく。
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