研究課題/領域番号 |
21H04958
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
椎名 毅 芝浦工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40192603)
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研究分担者 |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
佐藤 いまり 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (50413927)
瀬尾 智 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70646546)
川村 純一郎 近畿大学, 医学部, 教授 (90422948)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 可視化 / 光超音波イメージング / 内視鏡・腹腔鏡下手術 / がん診断 / 術中診断支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、低侵襲性が利点で適用が進んでいる内視鏡や腹腔鏡下の手術において、精度の高い治療を行う上で必要とされる術中の診断情報を、現状のシステムでは十分に獲得できていないという課題を解決するため、光超音波イメージングの先進技術を導入することで、術中での腫瘍の良悪性の鑑別、がん浸潤範囲、リンパ節転移等の診断を可能とする光超音波内視鏡システムの開発を目指す。このため初年度は、以下の各研究項目に取り組んだ。 (1)光超音波内視鏡システムプロトタイプの開発: 原理検証用の光超音波内視鏡プローブの開発について、シミュレーション解析結果に基づき、1024素子の2Dアレイセンサを先端に搭載し、マルチプレクサを介して256chの超音波送受信アンプに接続可能な、超音波プローブを試作した。 (2)情報科学的解析による光超音波像からの診断情報抽出: 光音響波の強度は血管方向に依存するため、異なる視点位置から得られた光超音波像を統合することが、ノイズの軽減とデータ欠損部位の補完を行い、血管の連続性の向上に効果的である。この際に体動による位置ずれや、プローブと対象部位双方の3次元情報により動きを補正しながら統合することで、視認性の高い3次元の血管構造の描出を可能とする方法を示した。 (3)動物モデルを用いた光超音波内視鏡の術中診断への活用法の検証:臨床での内視鏡・腹腔鏡下で必要な術中診断の場面を想定して、光超音波内視鏡の活用法を検討するため、マウスや大型実験動物を動物モデルの構築を進めた。一方で、新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響で、動物疾患モデルの作成に必要な研究設備の利用や、研究者の移動の制限などで、十分な研究体制で進めることが困難となり、研究計画の一部変更が必要となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による影響により以下の点で、当初の計画よりもやや遅れを生じている。開発項目1での基礎実験用プローブの試作に必要な一部装置の導入に支障をきたしたが、約半年の遅延の後に導入が完了して、現在ではプローブを構築できている。また、開発項目3では、複数回、研究分担者が所属する医療機関内で、感染症患者のクラスターが発生するなどで、動物疾患モデルでの構築について十分な体制で進めることが困難であったため、その一部を次年度に繰越した。
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今後の研究の推進方策 |
開発項目3の動物疾患モデルに構築に関しては、前述の理由で研究の進捗に遅延を生じているが、現時点では状況が改善されたため、遅れを取り戻すべく研究計画を再構築して研究を推進している。
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