研究課題/領域番号 |
21H05025
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浅沼 浩之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20282577)
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研究分担者 |
根本 直人 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60509727)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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キーワード | 人工核酸 / Pre-RNA world / 化学ライゲーション / SNA / L-aTNA |
研究実績の概要 |
申請者らは、シアノイミダゾールを活性化剤に用いMn2+あるいはZn2+イオン存在下で、40℃という温和な条件で僅か10 分インキュベートするだけで90%以上の高収率で、L-aTNA, DNA, およびRNAを鋳型鎖に用いたL-aTNA鎖の化学ライゲーションを実現した。またコドンと同じわずか3merのL-aTNAをフラグメントに用いた逐次的な化学ライゲーションも、L-aTNAを鋳型に用いた場合に4℃8時間で95%の高収率で実現した。そこで今年度は、まずはCNImと二価金属イオンのMn2+を活性化剤に使用し、17-mer L-aTNAの鋳型鎖上で3-merのL-aTNAランダム配列プール(T3mix)中でL-aTNA 8merをプライマーに用いて連結反応を行ったところ、4℃24時間の収率75%の収率で相補な配列をもつ17 merのL-aTNA鎖が得られた。このように目標とした鋳型鎖依存的複製を非酵素的に実現できた。 L-aTNAのようなポリメラーゼが適用できない人工核酸の配列をDNA配列に転写する方法として、DNAランダムプールから人工核酸に対して相補的なDNAを釣り上げてくる方法を検討した。ここではL-aTNAよりもDNAとの親和性の低いSNAで、まずは10 merという配列既知の短い配列でDNAのランダムプールから釣りあげられるか検討した。その結果、配列の分かっている2残基をSNAとDNAの両末端に付加することで、目的の配列を釣り上げられることが判明した。この手法に汎用性があるか調べるため、ペプチド核酸(PNA)でも同様の方法を試したところ、DNAのランダムプールからPNAと相補的なDNAが釣り上げられることも判明した。このように、本手法は汎用性があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、L-aTNAのランダム3-merのプールを使用して、L-aTNA鎖の鋳型鎖の複製を達成し、汎用性のある人工核酸の配列読み取り法を確立できた。なおL-aTNA二重鎖の自己複製については検討出来なかったが、コロナ禍で研究する留学生が来日できなかったためなので、やむを得ないと考えている。なお次年度別の学生が行う予定なので、問題ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ライゲーションの更なる効率化を図るため、メカニズムの解析とそれに基づいた長鎖L-aTNAのプライマー伸長反応を行う。次年度に繰り越したL-aTNA二重鎖の自己複製を、PCRと同様のサーマルサイクルで検討する。またL-aTNAだけでなくDNA同士のケミカルライゲーションについても検討し、さらにDNA→L-aTNAへの非酵素的逆転写についても検討する。
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