研究課題/領域番号 |
21H05028
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶原 康宏 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (50275020)
|
研究分担者 |
武田 陽一 立命館大学, 生命科学部, 教授 (20423973)
佐藤 あやの 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (40303002)
和泉 雅之 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (80332641)
川本 晃大 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90631523)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
|
キーワード | 糖鎖 / 糖タンパク質 / 糖ペプチド / 水和 |
研究実績の概要 |
鶏卵から単離した糖鎖アスパラギンをH2N-Asn(Glycan)-COSHに変換した。そして、ペプチドチオアシッド(Peptide-X―COSH)およびN末にジスルフィド結合で活性化したシステインを持つ長鎖ペプチド(RS-S-Cys-peptide)を順次連結させた。脱保護等の処理後、この手法で、H2N-Asn(Glycan)-COSHから5-6工程で糖鎖ペプチド全長を調製し、フォールディングすることで天然型の糖タンパク質(インターロイキン3、ケモカインCCL1)の合成に成功した。グリシンのα位にホスホン酸をもつ誘導体と各種アミノ酸の側鎖の構造をもつアルデヒド間でWittig反応をおこないアミノ酸のα-β位にオレフィンをもつアミノ酸誘導体を得、続くβ位へのチオールのマイケル付加を利用しβSHアミノ酸の合成をおこなった。およそ5工程程度でフェニルアラニン、チロシン、ロイシンの合成、及びキラルカラムによる光学分割に成功した。また、アミノ酸72残基の糖タンパク質MCP1を選び、Peptide-Tyr-チオアシッドおよび、βSHフェニルアラニンをN末にもつRS-S-Phe-Peptide間に、H2N-Asn(Glycan)COSHを挿入し合成することに成功した。ケモカインというN型糖鎖をもつ糖タンパク質、糖鎖をもつエリスロポエチン(EPO)、糖鎖をもたないEPOを別途化学合成し、そのタンパク質表面と水の相互作用をHDX法で解析した。その結果、糖鎖周辺が顕著に重水素化されていることがわかった。コレラトキシンBユニットに糖鎖をつけたものを合成し、ゴルジ、小胞体へ輸送させることに成功した。ヒトUGGTを調製しCryoEMを検討した。その結果、ヒト型UGGTの構造を初めて捉えることに成功した。また、大腸菌発現したペプチドのチオエステル化法を2種類確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖鎖アスパラギンチオアシッドを利用する糖タンパク質の新規法を確立した。また、これに必要なβメルカプトアミノ酸の合成法も確立した。さらには、糖タンパク質表面の水との相互作用も追跡する手法を確立し、本プロジェクトの基本となる合成法の確立に目処を立てることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
糖鎖アスパラギンチオアシッドを利用する糖タンパク質の合成例、並びにβメルカプトアミノ酸の合成例を増やすことを目指す。また、糖タンパク質と水の相互作用をさらに解析し糖鎖機能を調べる。CryoEMによる糖タンパク質の解析、精度を向上させる。細胞表層に膜貫通型糖タンパク質を合成させるためのintein法を進める
|