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2021 年度 実績報告書

西ドイツ社会運動による参加機会の拡大:1960-80年代の市民と行政の相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 21J00075
研究機関中央大学

研究代表者

川崎 聡史  中央大学, 法学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワード68年運動 / 西ドイツ / 社会運動 / シュポンティス / フランクフルト・アム・マイン
研究実績の概要

2021年度は、研究計画に従って1960年代から70年代のフランクフルト・アム・マイン再開発問題をめぐる行政と市民運動の相互作用について調査を行った。2021年10月にはドイツのフランクフルト都市史研究所(Institut fuer Stadtgeschichte Frankfurt am Main)とミュンヘン労働運動文書館(Archiv der Muenchner Arbeiterbewegung e.V.)にて史料を収集し、次のような知見を得た。
1960年代以降のフランクフルト・ヴェストエント地区の再開発に関して、地域住民や若い左翼活動家による反対運動を、市政府と警察が投資家と一致団結して抑圧したというイメージが抗議勢力によって語られ、その後もしばしば維持されてきた。しかし、実際には世論に敏感な行政は、早い時期から市民の批判を真剣に受け止め、地区の荒廃をもたらす再開発を阻止しようとした。さらに新たな知見として、フランクフルト警察は、自らを家賃高騰に悩む再開発問題の被害者だと捉えていた。そのため警察は、投資家の利潤追求を積極的に支持せず、力による抗議運動の抑圧をなるべく避けていた。
1970年代半ばには、建物を解体から守る記念碑保護制度が新たに確立されるとともに、家屋を占拠して警察に抵抗する者は処罰対象になるという連邦裁判所の判断が示された。こうした市民運動への対応のための法制度と方針が確立したことで、再開発に関する激しい紛争は一旦解決された。
1960年代以降の再開発問題が特に激しい衝突を伴った理由は、行政が市民の声を抑圧したことにあるというよりも、当時の法制度の限界と市民運動への対応経験の少なさから、行政の措置が不十分な効果しか持たなかったことにある。行政の民主的姿勢を指摘する本研究の知見は、西ドイツ民主主義のローカルな発展を実証的に示す重要なものであろう。

現在までの達成度 (段落)

翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。

今後の研究の推進方策

翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 草創期の自治的な共同保育施設「キンダーラーデン」に関する考察 -68 年運動以後の西ベルリンにおける社会主義的な保育運動に注目して-2021

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡史
    • 雑誌名

      現代史研究

      巻: 67 ページ: 17-29

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 西ドイツにおける自主管理型保育施設「キンダーラーデン」 -68年運動後の新しい幼児教育の思想と実践に関する考察-2021

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡史
    • 雑誌名

      ヨーロッパ研究

      巻: 21 ページ: 31-42

    • 査読あり
  • [学会発表] 石田勇治/川喜田敦子/平松英人/辻英史編『現代ドイツへの視座 歴史学的アプローチ3 ドイツ市民社会の史的展開』へのコメント2021

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡史
    • 学会等名
      『現代ドイツへの視座』完結記念シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 西ベルリンにおける自治的な共同保育施設「キンダーラーデン」 -68年運動以後の新たな保育運動の動き-2021

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡史
    • 学会等名
      第44回ドイツ現代史学会
  • [学会発表] 「68年運動以後の西ドイツにおけるローカルな運動 -「キンダーラーデン」とユーゾーに注目して-」2021

    • 著者名/発表者名
      川﨑聡史
    • 学会等名
      現代史研究会6月例会

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公開日: 2022-12-28  

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