研究課題
ホスホリパーゼC(PLC)は,グリセロリン脂質を加水分解し,生理活性脂質のジアシルグリセロール(DG)を産生する酵素群である.哺乳類のPLCで,ホスファチジルコリン(PC)やホスファチジルエタノールアミン(PE)を基質とするPLCは,哺乳類にて活性発見後40年以上分子実体(遺伝子)が不明であった.最近,我々は,スフィンゴミエリン合成酵素関連タンパク質 (SMSr)がPE,PC,ホスファチジルイノシトール(PI)等を加水分解しDGを産生するmulti-glycerophospholipid PLC hydrolase(MG-PLC)活性を示す「新タイプのPLC」であることを発見した.本研究ではSMSr/MG-PLCの機能解析を行い,MG-PLCの分子機構を明らかにすることを目的とした.本年度の主な成果として下記の3つがある.①当該酵素の生理的意義の解析準備のため,SMSrノックアウトマウスを新たに作製した(千葉大学バイオメディカル研究センターとの共同研究).②SMSrの他にPC-PLC活性を示す酵素群を同定するために,SMSrの触媒部位を指標にPLC候補タンパク質をデータベース上で検索し,複数の候補分子を見出した.興味深いことに, MG-PLCと配列類似性の高いSMS isoform 1 (SMS1)がin vitroでPC-PLC活性を有することを発見した(投稿準備中).③SMS1およびSMSr/MG-PLCの機能を調べたところ,DGキナーゼζ(DGKζ)と当該酵素が相互作用することを見出した(投稿中).すなわち,SMS1およびMG-PLCは生体内でDGKζに近接し,DGをDGKζに供給する可能性がある.なお,研究代表者の特別研究員辞退(常勤研究職への採用)に伴い,本提案研究課題は当該年度で終了となる. 本研究で得た成果を基に,引き続き新規PLC酵素群の機能解析を行う.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)
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