本年度は、ウェアラブル電極の長期安定装用に向けた接着性エラストマー薄膜の創製を行った。イガイやホヤの接着タンパク質に含まれるフェノール性ヒドロキシ基は湿潤環境での接着性に優れていることが知られていることから、エラストマー表面にフェノール性ヒドロキシ基を有するピロガロール基を修飾し接着性を向上させることを目的とした。ピロガロール基をシランカップリング剤へ修飾後、エラストマーであるPDMS上に堆積させることで作成した。規格化された手法を用い、ウレタン製皮膚モデルに対して接着性を評価したところ、未修飾PDMSに対して修飾PDMSは約11倍の接着エネルギーを示した。 他方、生体由来高分子であるカルボキシメチルキトサン(CMC)とタンニン酸(TA)が、自己組織化ゲルを形成することを見出し、バイオプリンタを用いた生体材料の開発への応用可能性を検討した。CMC-TAハイドロゲルは、動的粘弾性測定により、チキソトロピー性および自己修復性を有することが明らかとなったため、バイオインクとしての応用が可能であると考えられた。3Dバイオプリンタを用いて三次元構造を作成したところ、自立した中空構造の描画が可能であった。
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