研究課題
歯周炎患者が自己免疫疾患を併発しやすいとされる報告は数多く存在する。しかし、本当に歯周炎によって自己免疫疾患か惹起されているの か、という疑問については長年議論されてきたが、未だにその関連を決定づける確固たるエビデンスは見つかっていない。先行研究では、Porphyromonas gingivalis(Pg)が関節炎の増悪化の原因となることを報告しているが、その詳しい増悪化メカニズムは不明である。本研究では、Pgなどの歯周炎関連細菌が引き起こすNLRP3インフラ マソーム活性化が直接的な原因となって自己免疫疾患の一つである関節リウマチの増悪化を惹起しているのか詳細に解析し、その増悪化メカニ ズム解明のために重要な宿主および細菌因子の同定を目的とする。申請者は当初の目的の通り、歯周炎関連細菌が引き起こす自己免疫疾患増悪化機構の解明を行ってきた。3種類の歯周炎関連細菌(Porphyromonas gingivali、Fusobacterium nucleatum, Aggregatibacter actinomycetemcomitans)に着目し現在も解析を進めている。中でもAggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)については著しい進捗があった。まず申請者はAa が引き起こす関節炎増悪化にはマクロファージ内におけるCaspase-11依存的なインフラマソームの活性化が重要であることを見出した。また、AaはCD11bを介してマクロファージ内へと侵入し、細胞内リソソームによって分解されることも証明した。これらの研究成果をまとめて国際学術誌に投稿中である。さらにAa感染による関節炎増悪化を抑制する薬剤を3種類(ポリミキシンB、クロロキン、抗CD11b中和抗体)発見し、今後実用化に向けて進めていく予定である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Frontiers in Cellular and Infection Microbiology
巻: 11 ページ: 745117
10.3389/fcimb.2021.745117
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 560 ページ: 179-185
10.1016/j.bbrc.2021.04.123