研究課題/領域番号 |
21J00998
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
田中 えりか 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | レアアース / 炭酸塩堆積物 / 多元素同位体 / 古第三紀 |
研究実績の概要 |
本研究は,南太平洋高緯度域の古第三紀炭酸塩堆積物に対し,化学組成分析および多元素同位体分析を行うことで,古第三紀における環境変動と南太平洋域におけるレアアース元素濃集イベントの関係性を明らかにすることを目的としている.1年目にあたる2021年度においては,まずサンプルの選定を実施した.具体的には,2020年1月から2月に実施された航海 (International Ocean Discovery Program; IODP Expedition 378) 中に,ニュージーランド南方沖Campbell Plateau上にて掘削された堆積物コアU1553から,70層準を選定した.2021年度は,これらのサンプルすべてに対し,誘導結合プラズマ質量分析 (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry; ICP-MS) による化学組成分析を行った.続いて,上記の化学組成分析のデータを元に,地球化学特徴の観点から堆積物コアを代表する40層準を絞り込み,表面電離型質量分析計 (Thermal Ionization Mass Spectrometry; TIMS) によるNd-Sr同位体分析を実施した.さらに,次年度の分析に向けて,堆積物サンプルのリーチング手法についての検討を実施した. 加えて,筆頭研究者として,国内学会での口頭発表を行うとともに,論文1本を地球化学分野の国際誌に発表することで,研究内容の公表を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の間に,研究対象試料の全岩化学組成・Nd-Sr同位体の取得を完了し,今後の研究に向けた基礎データをそろえることができた.また,筆頭研究者として,国内学会での発表を実施するとともに,および論文1本を地球化学分野の国際誌にて公表した.さらに,現在,新たなデータを論文としてまとめ,地球化学分野の国際誌にて査読を受けている最中である.以上より,本研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に検討したリーチング手法をもちいて,砕屑性成分の分離を行う.その上で,取得した砕屑性成分に対し,化学組成分析, Nd-Sr同位体分析を実施し,全岩試料のデータとの比較を実施する.なお,試料の前処理やカラム処理の過程においては2021年度と同様に,高純度酸・試薬を使用する.化学組成分析は東京大学大学院工学系研究科内の蛍光X線分析装置 (XRF) および四重極型誘導結合プラズマ質量分析装置 (ICP-QMS) を,同位体分析は海洋研究開発機構の表面電離型質量分析計 (TIMS) を用いる.また,得られたデータに対して,随時解析を実施し,南太平洋高緯度域の海底堆積物の起源成分を考察する.成果は,国内・国際学会で発表するとともに,地球化学分野の主要な国際誌に投稿・発表する.
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