希土類錯体は希土類イオンの置換活性な性質によって、結晶構造と溶液中の構造は必ずしも一致しないことが知られている。そのため、非対称な配位子を用いた場合に、希土類錯体は様々な配位構造が生成してしまう。こうした特性は魅力的な光学特性をもつ希土類イオンのボトルネックとなっていた。溶液中での構造を決定することができれば、非対称な配位子をもつ希土類錯体から得られる光学特性をより詳細に評価することができ、これまで研究されてきた対称型の希土類錯体からは得られない新たな光機能を見出す可能性がある。そこで、これらの問題を解決する方法として、希土類錯体の特徴的な発光スペクトルパターンを詳細に解析と、計算科学的手法を組み合わせることでC2対称性を持たない低対称な配位子をもつ希土類錯体の溶液中での構造を決定する方法論を確立した。
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