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2021 年度 実績報告書

太陽系探査を目指した小型イオントラップフーリエ変換型質量分析器の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21J10032
研究機関東京大学

研究代表者

川島 桜也  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2023-03-31
キーワード質量分析 / 宇宙探査 / 原理実証試験
研究実績の概要

本研究では,次世代の惑星探査における同位体質量分析の機会を増大させて,太陽系物質の起源や進化の研究を進めるためのブレイクスルーを得ることを目的に,探査機搭載用の小型かつ高分解能な質量分析器を開発している.将来の宇宙探査について,他国との共同相乗りミッションや,月ゲートウェイ放出型の超小型衛星による探査など,我が国における宇宙探査機会は増加が見込まれる一方で,そのミッションの特性から衛星搭載用装置が利用可能なリソースについてはより厳しい制約が生まれることが予想される.ここにおいて,リソースを制限しながらも,従来のハイエンド装置と同等の科学成果を創出可能な小型装置を開発することを目指した本研究のチャレンジには,意義が認められる.
具体的には,従来宇宙探査に用いられてきた質量分析器(二重収束型・TOF型・四重極型)とは異なる,イオントラップフーリエ変換型(i.e., Orbitrap TM,Makarov 1999)の質量分離技術を採用し,そのメリットを活かした手のひらサイズかつ高分解能な質量分析器を実験室ベースで製作している.現在までに,装置の数値シミュレーションによる性能と比較しながら,実験室における原理実証試験を行い,製作した装置テストモデルの性能評価を部分的に完了している.今後は装置の改良設計と,改良後の全体試験によって,数値シミュレーションに近い性能を実機で達成することを目標として研究を進める.今期の具体的な実績としては,イオンを装置内で発生させてイオントラップフーリエ変換部分に送るまでの前段イオン蓄積部となる,静電レンズ型イオン共振器の改良を完了した.これにより,S/Nにして2倍以上の性能向上を見込むことができるようになり,今後の装置改良の方針を立てることに成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今期の具体的な実績は,主に2点あり,初期設計のテストモデルを用いた原理実証試験の完了と,イオンを装置内で発生させてイオントラップフーリエ変換部分に送るまでの前段イオン蓄積部(=静電レンズ型イオン共振器)の改良の完了である.前者について,シミュレーションで当初想定していた性能は未だ得られていないが,新しく原理から考案した装置の開発としては,かなり順調なペースで試験を進めることができており,区分2に該当するといえる.後者について,蓄積するイオンのエネルギーの分散を抑えて,効率的にイオンを蓄積するための設計を発案し,これを実証することができたため,こちらもかなり順調な成果である.後者の完了により,S/Nにして2倍以上の性能向上を見込むことができるようになり,今後の装置改良の方針を立てることに成功した.

今後の研究の推進方策

今後は装置の改良設計と,改良後の全体試験によって,数値シミュレーションに近い性能を実機で達成することを目標として研究を進める.具体的には,フーリエ変換部分におけるイオンの軌道決定が重要であると考えており,これに関して予備実験を含めて入念なオプティクスの検討と実験を行う.またそのほかにも,イオン検出におけるS/Nを向上するために,低ノイズ高電圧スイッチの開発を行うなどして,総合的な装置性能の向上を目指す.また可能な限りで,現在用いている窒素ガスの他にも,さまざまな試料ガスを用いた測定を行い,元素・同位体測定精度の定量化を目指す.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Size-frequency measurements of meter-sized craters and boulders in the lunar polar regions for landing-site selections of future lunar polar missions2022

    • 著者名/発表者名
      Oya KAWASHIMA
    • 雑誌名

      Icarus

      巻: 378 ページ: 114938

    • DOI

      10.1016/j.icarus.2022.114938

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of a space-borne electron impact ion source optimizing ionization rate2022

    • 著者名/発表者名
      Oya KAWASHIMA
    • 学会等名
      JpGU
    • 国際学会
  • [学会発表] Meter-sized craters and boulders around lunar South pole Shackleton and North pole Whipple craters2021

    • 著者名/発表者名
      Oya KAWASHIMA
    • 学会等名
      LPSC
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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