研究課題/領域番号 |
21J10117
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武田 雅広 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | リー群 / 写像空間 / ホモトピー余極限 / 不変式環 |
研究実績の概要 |
私はリー群の可換元のなす空間に関しての研究を、主に二つの方法でアプローチを行った。 一つ目は有理化された情報を考察する方法である。この方法ではリー群の可換元のなす空間の有理係数コホモロジーとある不変式環の同型を用いて、さらなる情報を得る方法である。この方法で得られる結果はリー群の可換元のなす空間と不変式論の関係を記述するため、興味深いものである。この方法で私は以前rankが2のリー群の場合にコホモロジー環の計算を行い、コホモロジー環が次数を除いて同型になるという結果を得た。その計算がより一般化できるか否かについて考察を進めており、スピン群の場合の計算においていくらかの進展を得た。 二つ目は新たな分解を用いて直接空間にアプローチを行う方法である。以前私たちはリー群の可換元のなす空間をホモトピー余極限の形で表すという手法を与えている。本年度はその手法のさらなる一般化についての考察や具体例の解析などを行った。その考察によって組み合わせ的な議論と合わせて用いることで、進展の可能性を見出した。さらに、より一般の空間の場合への応用の可能性も発見した。この余極限分解による解析が進展することで、いままでには無かったリー群の可換元のなす空間の体系的な解析方法を与えられる可能性がある。 また一方で今年度はこの空間についての今までの研究に関して、様々な研究集会において計5回公演させていただいた。その際には、私たちの研究のことはもちろん、この空間を研究することの意義や興味深さもお伝えし、今後のより一層の研究促進に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の点でリー群の可換元のなす空間への理解が進んでいる。 スピン群の場合の不変式環の計算では、以前私たちが与えた結果の一部を拡張できることが確認できた。 空間の分解に関しては、組み合わせ的な議論と合わせて用いることで、進展の可能性を見出した。さらに、より一般の準同型のなす空間の場合への応用の可能性も発見した。 以上の進展から、このように自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き一歩ずつ研究を続ける。着実にこのリー群の可換元のなす空間への理解を深め、新たな興味深い結果を得ることが目標である。 スピン群に関しては、不変式環の構造の解析を中心に進めていく。私が以前発見した次数を忘れた場合の環の構造に関する結果を一般化することが一つの目標である。 空間の分解に関しては、余極限分解のさらなる解析や、新たな分解方法を与えることを目標に進めていく。 また、最終年度であることから、結果を論文にまとめられるよう努める。
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