私はリー群の可換元のなす空間に関しての研究および、それに関連してStanley Reisner環のSteenrod問題の研究を行った。 リー群の可換元のなす空間に関する研究では、リー群の可換元のなす空間から分類空間の間の写像空間への写像の解析を行った。この写像は、幾何学的には平坦束のある種のモジュライと束のある種のモジュライの関係に対応している写像であり、曲面上の束に対応する場合には、AtiyahとBottにより有理ホモロジーに導く写像が全射になることが知られている。私は共同研究者とともに異なるアプローチで高次トーラスに対応する場合に、いつ有理ホモロジーに導く写像が全射になるかを判定し、その結果を論文にまとめ、arxivに公開した。 その他同時進行でリー群の可換元のなす空間の新たな分解とその応用に関して研究を行った。新たな分解方法に関してはほぼ完成しており、サスペンション分解と組み合わせることで応用を得る方法を研究している。このことに関しては、これからも引き続き研究を進める。 Stanley Reisner環のSteenrod問題に関する研究では、1本の論文を出版するに至った。Steenrod問題とはどのような次数付き環が空間のコホモロジー環として現れるか、という代数トポロジーの古典的な問題である。この問題は多項式環の場合には完全に解決されている。私はこの問題をStanley Reisner環という環について考えた。ホモトピー余極限での空間の構成や、古典的な不変式論の結果を用いることで、ある条件の下での必要十分条件を与えることに成功した。その結果は論文にまとめ、arxivに公開した。 また一方で今年度はコロナ禍の影響が薄れたことで、数々の研究集会がオフラインで開催された。それらに参加し、リー群の可換元のなす空間の研究などについて、様々な研究集会において計13回公演させていただいた。
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