研究課題/領域番号 |
21J10301
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
礒本 俊弥 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | ユーザビリティ / 視線入力 / ユーザインタフェース / インタラクション / 認知 |
研究実績の概要 |
本研究では,想起性に優れたジェスチャセットの決定とその認識システムの構築を行う.ジェスチャとは,マウス操作でのクリックやホイールに該当し、そのジェスチャに紐付いた操作が行われる.
ジェスチャセットの1つとして,眼を留めることをジェスチャとした操作に関して,研究を行った.この眼を留めるジェスチャは,視線に基づく操作において凝視を用いた操作と呼ばれている.これは,マウスでの操作におけるクリック操作に該当する.凝視を用いた操作では,例えば,ある対象を400ms以上見続けた時に,その対象への操作を行うことができる.この例では400msとしているが,視線に基づく操作に関する研究分野全体として,適切な値(時間)は決まっておらず,値によってはユーザに対して不快感を与えること,操作の難しさに影響を与えることがわかっている. そこで,本研究ではどれくらいの値が,ユーザにとって使用しやすい値なのか・操作を想起しやすい値なのかの調査を行った.調査には,視覚情報を人間がどのように処理し行動に繋げるかを表すモデルであるModel Human Processor (以降MHP) を用いた.MHPを通じて,人間がどの程度の時間を知覚に要するかを推測し,凝視を用いた操作に推測した時間を適応することで,想起性の高い操作手法の実現を試みた. まず,MHPから推測した「見続ける時間」は600msであることを示し,見続ける時間を600msとした凝視を用いた操作の認識システムを実装した.そして,このシステムを用いてユーザ実験を行った.その結果,600msを見続ける時間として用いることが適しているということがわかった.本研究成果をまとめたものを,国際会議SAP 2021にて査読付き口頭発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画通り,ジェスチャセットの決定とシステムの構築は進捗が見られ,加えて研究内容をまとめて査読付き国際会議発表を行えていることから,順当に進んでいると言える.一方で,現状調査を行えているのは「凝視」ジェスチャのみであり,これに関しても例えば使用可能な環境に制限があるといったように,依然として課題が存在している.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,凝視ジェスチャに関して,使用可能な環境を増やすことを意識し,その後さらに多くのジェスチャの調査を行うことを予定している.これらをまとめて論文誌発表や国際会議発表を積極的に行う.
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