研究課題/領域番号 |
21J10374
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津田 壮章 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 戦争社会学 / 隊友会 / 自衛隊 / 民軍関係 / 政軍関係 / 民間防衛 / 国民保護 / 防災 |
研究実績の概要 |
戦後日本における自衛隊退職者団体隊友会と地域社会の関係解明を目的とする本研究では、主に以下4点の研究を進めている。 ①隊友会が目指してきた3種類の退役軍人モデルである在郷軍人会・民兵・民間防衛の歴史的経緯や現代的な組織構造を整理し、戦後日本におけるこれら組織を新設する動きと地域社会での受容と反発の動向を考察する。②隊友会と政治の関係を自衛隊史に位置付け、防衛政策への政治的関与や自衛官の処遇改善を求める当事者運動団体としての性質を考察する。③2004年の国民保護法制定後に隊友会が地方自治体と締結している有事協力協定書の内容分析を通じて、地域社会の有事体制形成過程と隊友会の影響を考察する。④隊友会の海外研修事業及び諸外国の在郷軍人団体との国際交流の歴史を「在郷軍人の防衛交流」と位置づけ、在郷軍人としての理想像を模索する自衛隊退職者の動向を考察する。 今年度の成果発表としては、②に関する1本の論文発表と、③に関する学会発表のほか、①②③④のいずれにも関連する隊友会員のアイデンティティについての学会発表をおこなった。①の論文は投稿中である。 調査については、①②③④すべてに関わるものとして、隊友会の発行してきた機関紙や各種雑誌の他、自衛隊関連機関の年史、発行物、公文書等の収集・分析を進めている。また、主に戦争社会学分野で進んでいる民軍関係に関する先行研究の調査もおこなっている。この他に、③に関連して、隊友会が地方自治体と締結している協定書についての調査を進めており、協定書を締結している約200の地方自治体へ協定書全文の開示依頼と質問紙調査を実施した。現在、回答データを集計・分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は新型コロナウイルスの影響で関係者へのインタビュー調査や自衛隊関連施設へのフィールドワーク調査をおこなえていないが、質問紙調査等で代替する形をとっている。一部の論文投稿に予定の遅れがみられるものの資料調査は順調であり、研究計画全体としては、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
隊友会が地方自治体と締結している協力協定書についての研究③に関する調査結果を踏まえ、地方自治体担当者へのインタビュー調査や、自衛隊関連施設へのフィールドワーク調査を進める。そのうえで、論文として学会誌への投稿を目指す。また、既に論文を投稿中である研究①の掲載を目指す。④に関しては、引き続き資料収集を進める。 資料収集過程において、ベトナム戦争期の自衛隊とベトナム反戦運動に関連する資料を複数発見したため、自衛隊と地域社会の関係を考察する論点の一つとして調査を進める。
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