草原の履歴が植物だけでなく蝶類群集にも影響を与えること、また、その影響が歴史の長い草原の面積によって決まっていることを明らかにした。また、蝶類と植物の相互作用系が草原履歴から受ける影響について、植物が最初に影響を受け、間接的に蝶類が影響を受けていることを示し、それらについて論文を投稿した。報告時点で査読中である。植物についても、長野県内の3地域でのフィールド調査の結果、3地域共通で履歴によって植物群集が異なること、地域間での地理的な差異がある中でも、履歴による違いが検出されることを明らかにし、空間的・時間的の双方の植物種組成への影響についての論文を投稿した。報告時点で査読中である。 フィールド調査によって、ヒメシジミ・ヒョウモンチョウ・ジャノメチョウのDNAサンプルの採集・標識再捕獲による調査及び、植物・蝶類の群集調査を完了が完了している。標識再捕獲によって、蝶類の草原間の移動が活発でないこと、各種の発生消長が得られ、これらの成果を、第8回山岳科学学術集会、第70回生態学会で報告した。さらに、DNA解析では、予定していたヒメシジミ・ヒョウモンチョウ・ジャノメチョウの3種全てについて、DNAの抽出とPCRによる増幅が完了した。抽出したDNAは現在Mig-seq法によるシーケンスを依頼している。シーケンス結果を解析することで、蝶の過去の草原間の移動を明らかにし、草原の蝶の分散・移動制限について解明に必要な情報を提供する。
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