研究実績の概要 |
本年度は,奥行き錯覚の予測と階段歩行の拡張・制御の基礎調査として,段差の奥行き感や質感を変化させる画像変調手法を検討した.その中で,運動視差を模擬した水平運動を持つ運動定義領域が,画像下側の領域を手前に見せる効果があることを発見した. 下側領域手がかりが図地手がかりの一つであり,潜在的な奥行き手がかりであることは,従来から知られていた.本成果は,運動定義領域が,画像下側の領域の奥行き感を強調することを,新たに確認した.同時に,下側奥行き手がかりが,遮蔽や運動の連続性などその他の要因と競合・強調する場合に,奥行き感がどのように影響を受けるかを調査した.これらの研究成果は,査読付国際論文誌Journal of Illusion誌に採択され,出版された[1]. さらに,計算機モデルが奥行き錯覚をどのように知覚するかの基礎的な検討として,未学習のクレーター錯視図形を,単眼奥行き推定モデルに入力したところ,人と類似した凹凸面が応答されることを発見した.この研究成果は,査読付国際会議ALIFE 2021に採択され,発表された[2] そのほか,プロジェクタとカメラを用いた階段への映像投影システムを構築し,映像投影によって段差の奥行き感・質感がどのように変化するかの検討を進めた. [1]Y Kubota, et al.: Motion-driven enhancement of a lower region cue in depth perception, Journal of Illusion, 3. [2]R Mima, Y Kubota, and M Inami: A Monocular Depth Estimator to Perceive Crater Illusions in Several Characteristics, Artificial Life (ALIFE) 2021, pp.22
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