研究課題
本研究は、新規キシロース同化経路を介して合成される2-ケトグルタル酸を出発基質として、木質系バイオマスから得られるグルコースとキシロースからナイロ ンモノマーであるカプロラクタムを生産する計画であった。研究開発の進展により、独自技術である酵母を宿主としたキシロースの新規同化経路構築の技術を深化させる必要があることが分かった。そこで、本年度では、主要な中間生成物であるキシロネートの蓄積を避けるため、新規同化経路を構成する重要酵素であるxylonate dehydratase(XylD)の改良を試みた。キシロネートから2-keto-3-deoxy-xylonateへの反応を触媒する酵素XylDは、鉄硫黄クラスターと呼ばれる金属錯体を酵素活性に要する鉄硫黄タンパク質であることが知られている。特に、真核生物である酵母を宿主とした際、原核生物由来の鉄硫黄タンパク質の発現が困難であり、その酵素活性が極めて低いことが知られていた。本研究では、NCBIに登録されてる全ての酵素XylDのアミノ酸配列を抽出し、系統樹を作成することでその膨大な配列を分類した。系統分類の結果から、8つのXylDのアミノ酸配列を選定し酵素活性測定を行った。その結果、従来まで新規キシロース同化経路の構築に用いられてきたCaulobacter crescuntus由来のXylDと比較して、Rhizobium miluonenseおよびPseudooceanicola antarcticus由来のXylDが酵母内で約30倍高い活性を示すことを明らかにした。この研究成果は、酵母を宿主とした新規キシロース同化経路の活用を更に加速するものである。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biotechnology and bioengineering
巻: 102 ページ: 511-523
10.1002/bit.28278