研究実績の概要 |
アルミニウム合金AA5083上に陽極酸化処理を施し、大気環境を模擬した中性塩化物溶液中での純鉄もしくはステンレス鋼と接触時のAA5083の腐食挙動の解析を行った。異材接触時のAA5083の局部腐食の起点は、Feを含む金属間化合物であるAl6(Fe,Mn)であることが推測された。所定の条件で陽極酸化処理を施すことで、たとえステンレス鋼と接触した場合においても、AA5083上に局部腐食が発生しないことが分かった。陽極酸化処理を施したAA5083上には、Al母相とAl6(Fe,Mn)上で厚さの異なる陽極酸化皮膜の生成が確認された。アルミニウム合金の金属間化合物を起点とした局部腐食の発生メカニズムは、金属間化合物上での酸素還元反応により誘起される金属間化合物周囲の液性のアルカリ化と金属間化合物周辺のAl母相のアルカリ溶解がごく初期に起こる反応と報告されている。本研究で施したAA5083上での陽極酸化皮膜は、Al6(Fe,Mn)上での酸素還元反応の抑制とAl母相の耐アルカリ溶解性の向上に寄与していることが分かった。その結果、純鉄やステンレス鋼と接触させた場合においても、AA5083上での局部腐食の発生を抑制することが可能であることが推察される。
|