研究課題/領域番号 |
21J11122
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大橋 健 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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キーワード | 高エネルギー宇宙線 / ハドロン相互作用 / LHC加速器 |
研究実績の概要 |
2021年度は、パイ中間子交換事象と背景事象をATLAS実験とLHCf実験の連動解析において区別する手法の開発を行った。シミュレーションによりパイ中間子交換事象と背景事象のそれぞれを生成したところ、ATLAS実験の内部飛跡検出器での検出粒子数が多い場合に散乱角0度の高エネルギー中性子を測定することで区別できることがわかった。この結果について、37th International Cosmic Ray Conferenceで発表を行い、会議録を出版した。 2021年度後半は、2015年に取得したデータを用いたATLAS実験とLHCf実験の連動解析の手法の開発に注力した。その結果、LHCf実験の手法が応用できる一方、LHCf実験の検出器に複数の粒子が入射する場合については、さらなる解析手法の開発が必要なことが明らかになった。この解析の途中経過について、日本物理学会で報告した。さらに、LHCf検出器の後方に設置するATLAS-ZDC検出器に複数の粒子が入射する場合の影響の評価が必要なことが判明したため、このような事象を測定するような前置検出器の開発を行なった。 しかし、2021年度中頃に予定していた、検出器試験の規模が大幅に縮小され、必要なデータ取得は2022年度に延期された。 2022年秋に、延期されたLHCf検出器試験を行い、データ取得を行った。この際、新たに開発した前置検出器の性能評価にも必要なデータを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パイ中間子交換事象の解析手法の開発およびATLAS実験とLHCf実験の連動解析による超前方中性子解析の手法の開発は順調に進んでいる。 しかし、2021年度に予定していた検出器試験を延期し、2022年度に行ったため、検出器の校正などデータ解析に必要な解析が進んでおらず、2022年度に取得した陽子陽子衝突のデータ解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度前半でパイ中間子交換事象の解析方法を確立する。さらに、データ取得の準備をCERNにて行う。特に、データ取得システムの整備や検出器の組み立て、現地での最終テストを行い、データ取得の準備を行う。 2022年度中頃にデータ取得を行う。さらに、その直後に検出器試験のためのデータ取得をSPS加速器にて行う。この時、LHCf実験の検出器全体の試験とともに、前置検出器の試験も同時に行う。 データ取得後に、初期解析およびデータ解析を行う。
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