本年度は、2015年取得データの解析により、ATLAS実験とLHCf実験の共同取得データの解析方法の確立に注力するとともに、新たな実験データの取得を行なった。 2015年取得データの解析では、中性子解析に必要な検出器効果の除去について、これまでのLHCf実験の方法を拡張することにより確立した。また、検出器に複数の粒子が入社する場合の取り扱いについて新たな方法を開発し、それを適用した。これにより、2015年取得データの解析を確立し、論文出版に向けた作業を開始した。 新たな実験データの取得では、ATLAS-ZDC検出器と連動したデータを初めて取得した。これにより、パイ中間子交換事象の解析に必要な高い中性子エネルギー分解能を実現できる。このデータ取得の実現のために、データ取得システムの最適化および調整を現地で行い、データ取得に貢献した。さらに、LHCf実験の検出器に当たらずにZDC検出器のみに当たる事象を区別するために、新たに前置検出器を導入し、データ取得を行なった。このデータ取得について、6th International Symposium on Ultra High Energy Cosmic Raysで報告した。 データ取得以降、取得したデータの解析を進めた。 ATLAS実験とLHCf実験で別々に取得したデータから、同じイベントを取り出す作業を、一部のデータセットについて行い、同一データの取得ができていることを確認した。さらに、データの処理を進め、データセット全体についてイベント照合作業の準備を行った。
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